熊本地震におけるNHKの原発報道について、籾井勝人会長が局内の災害対策会議の場で政府機関や九州電力の「公式発表」をベースに報じるよう指示を出していたことが明らかになりました。26日の衆院総務委員会で奥野総一郎議員(民進党)の質問に答えたものです。
委員会で籾井氏は、20日に開かれた対策会議で「原発に関しては、周辺のモニタリングポスト(放射線量を定点観測する装置)の数字や原子力規制委員会の見解等々を伝えていこう」と指示したと明言。
理由については、「不必要な不安や心配を根拠もなしに出していくのは変でないか」「原子力規制委員会がこれは安全であると、あるいは(稼働を)続けていいのであれば、そのコメントを伝えていくということ」などと答えました。
NHK職員でつくる日本放送労働組合(中村正敏委員長)は、25日に委員長見解を発表。「見解」は、震災報道では行政の公式発表を伝えるのは当然だとしたうえで、「もし行政の判断や活動に問題がある場合には批判をするのも当然の役割」だと指摘しています。
籾井氏は2014年1月の会長就任会見で「政府が右というものを左というわけにはいかない」などと発言。以来、視聴者団体やNHKのOBなどから辞任・罷免要求が出されていました。
(「しんぶん赤旗」2016年4月28日より転載)