排気筒上半分解体へ・・福島原発1、2号 機倒壊の恐れ
東京電力は4月25日、福島第1原発の1、2号機排気筒(高さ120メートル)の上半分を解体する作業を、2017年度に着手する方針を明らかにしました。原子力規制委員会の検討会合で報告しました。
同排気筒は、破断や変形が見つかっているほか、地面近くでは最大で1時間当たり2万5000ミリシーベルトの高い放射線源が見つかっています。鋼材の腐食による強度不足で地震などで倒壊する恐れを本紙が指摘。規制委も優先的に対応するよう東電に求めていました。
方針では、大型クレーンを使用。落下防止のために固定しながら切断できる機器を開発し、17年度に準備工事に着手。19年度前半に解体工事を完了する方向で調整します。
また東電は、漏えいの危険性が高い組み立て式(フランジ型)タンクにためている処理途中の高濃度汚染水約5万トンの処理完了時期について、「凍土壁」計画による地下水流入抑制効果が期待通りだった場合でも、2017年2月ごろになるという見通しを示しました。
一方、検討会合では東電が凍土壁について「遮水効果が発現し始めている」との認識を示しましたが、規制委側は現時点では判断できないとしました。凍土壁は1〜4号機建屋周辺の土壌を凍らせて″氷の壁″をつくる計画で、3月31日に一部凍結を開始しました。
(「しんぶん赤旗」2016年4月26日より転載)
検査権限強化の方針・・規制委
原子力規制委員会は4月25日、原子力施設などの検査権限を強化し、検査官がいつでも施設内に立ち入りできるようにするなどの原子炉等規制法の改定を進める方針を決定しました。同日発表された国際原子力機関(IAEA)の総合原子力安全規制評価サービス(IRRS)の指摘を受けた取り組みの一環です。
同サービスはIAEAが加盟国の原子力規制に関して法制祖や規制組織について評価し提言を行うもの。IAEAは、日本の申し出を受けて17カ国の原子力の専門家からなる評価チームを今年1月に派遣し、規制庁職員への聞き取りや関西電力高浜原発などの現地調査を行いました。
報告書では、日本の検査制度に関して、検査内容や頻度が法令であらかじめ規定されていることから、法令を改正し、さらなる実効性を確保すべきと指摘しています。規制委は、現場の検査官の判断で検査項目を選定するなど抜き打ち検査も可能とする改定を来年、国会に提出したいとしています。
日本は2007年に同サービスの評価を受け、規制と推進の明確な独立など10項目の勧告を含む多くの指摘がなされました。しかし、日本はおおむね2年後に行うとされていた追跡調査を実施しないまま、東京電力福島第1原発事故が起きました。
(「しんぶん赤旗」2016年4月26日より転載)