政府の地震調査委員会は4月17日、熊本県熊本地方で16日未明に起きた阪神大震災級のマグニチュード(M)7・3の地震は、布田川(ふたがわ)断層帯の布田川区間が活動したことによるという評価をまとめました。
布田川区間は従来の評価で長さ約19キロと推定されていましたが、今回の地殻変動などのデータから、19キロより長い断層が活動したと評価しました。同区間では、田んぼで2メートルずれていました。
地震調査委の平田直委員長(東京大学教授)は「(布田川区間は)地表の調査でわかっている活断層より東側に長く、阿蘇山のカルデラの中にも断層が延びている」と述べました。
ただ、阿蘇地方で16日に起きたM5・8の地震は、M7・3の地震の影響で起きたもので、布田川断層がそこまで続いているわけではないとみています。
また、大分県中部で16日に起きたM5・3の地震についても、平田委員長は「熊本地方で起きたM7・3の地震の影響を受けて起きた」と述べました。
気象庁は17日、熊本地方の南西側の日奈久(ひなぐ)断層帯に沿ってM4・5などの地震が16日から発生していると発表しています。平田委員長は、今回の地震が活発で、長さ約30キロの領域以外の周辺でも発生しているとして「南の方にも余震活動が広がっているのは共通認識だ」と指摘しました。
今後の見通しについて平田委員長は、「2週間くらいは今の状況が続くと考えていい。被災した地域の周辺では地震が起きやすい状態になっています。M6・5でも震度7になったような非常に強い揺れが起きており、十分に注意を続けてほしい」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2016年4月18日より転載)
断層帯長さ27キロずれ・・南阿蘇村97センチ南西へ/国土地理院が調査
熊本県で4月16日米明に起きたマグニチュード(M)7・3の地震について、国土地理院は同日、地表に設けた基準点を分析した結果、布田川断層帯が長さ約27キロにわたってずれ、南阿蘇村が南西方向に最大97センチ動いたと発表しました。
地理院によると、全地球測位システム(GPS)を使い、地表に設置した基準点の地震前後のずれを計測。南阿蘇村は南西方向に97センチ熊本市北区に北東方向に75センチ動いていました。
この結果から、地中の布田川断層帯が長さ約27キロにわたり、約3・5メートルずれたと考えられるといいます。
14日に起きたM6・5の地震では、布田川断層帯に隣接する日奈久断層帯がずれたとみられ、地表では熊本市南区で北東方向に約20センチ動いたのが最大でした。
(「しんぶん赤旗」2016年4月18日より転載)
同規模震度、続く恐れ・・専門家指摘 多数の活断層が分布
4月14日夜のマグニチュード(M)6・5から16日未明のM7・3と、熊本県で立て続けに起きた大地震。同県から大分県にかけては多数の活断層が分布しており、専門家は「他の断層が誘発されて、同規模の地震が今後も起きる可能性はある」と指摘します。
気象庁は最大震度7を記録した14日の地震後、過去に内陸の活断層で起きた地震の特性から、最初の地震が最も大きい「本震−−余震型」と説明しました。しかし、16日に、より大きな地震が起きたことを受け、「前震−−本震型」に改めました。
東京大地震研究所の古村孝志教授は「この地域は一つの活断層だけでなく、断層帯と呼ばれる多数の断層がある場所だ」と指摘。「一つの断層だけなら、本震が起きて残りが余震を起こす形になるが、今回は二つの断層帯がそれぞれ起こした地震。14日は日奈久(ひなぐ)断層帯の本震、16日は布田川(ふたがわ)断層帯の本震だとみることができる」と話します。
古村教授によると、別府湾から島原半島にかけて「別府−−島原地溝帯」と呼ばれる地質構造があり、南北に引っ張られる力が常にかかっています。地下で確認できないものも含め、活断層が多数発達しているといいます。
古村教授は「地震が起きると、その延長線で力のかかり方のバランスが崩れて、別の断層が動いてまた地震が誘発されることがある」と説明。「他にも断層がたくさんある断層帯なので、今回と同じ規模の地震が起きる可能性は考えられる」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2016年4月18日より転載)