発生から5日目を迎えた熊本地震。被災地では電気や水道、ガスなどライフラインが途絶えるなか、約10万人が避難しています。また、熊本県阿蘇市の避難所の仮設トイレで、市内の女性(77)が急性心不全で死亡しました。熊本県などでは、特に水不足が深刻になり、被災者に疲労の色が濃くなっています。
熊本地震による水道施設の被害で、熊本県内で20近い自治体で断水が起きています。4月16日から水道が使えない熊本市では市民らが給水所の列に並び、一刻も早い水道の復旧を待ちわびています。
熊本市役所(中央区)の男性用トイレでは、水が出ない便器のそばに水が入ったペットボトルやバケツが置かれています。自宅のトイレが使えない多くの市民がやってきてこのトイレを利用し、バケツなどの水で流しているのです。
熊本県内では18日も17万6900戸(午前10時時点)が断水したままとなっています。
熊本市は前日の17日時点では、約32万戸が断水していましたが、19万5000戸で給水再開。
それでも18日時点で11万5000戸(同)が断水しています。水道が使えず、家の片付けや日常生活に大きな支障をきたしています。
市役所前には給水所が設けられています。市内の男性(73)は妻(69)と自宅から車で20分かけてやってきました。男性は「他の給水所は行列がすごかったので、ここに来た。断水してから初めて今日、ぬれたタオルで顔を拭いた。家では水がもったいなくて孫の体を拭いてやるぐらいだった」と話します。
震災後、姉の家に身をよせている女性(24)は「2カ月の赤ちゃんにミルクを作る時に水が必要。節水のためになるべく米を炊かず、お菓子を食べて我慢している」といいます。「トイレが一番大変。猫のトイレ用の砂を使って、水を使わずに何とかしのいでいる。早く使えるようになってほしい」
白川公園(熊本市中央区)の給水所に来た男性(46)は「トイレと風呂が使えないのが一番の悩み。トイレは、公園や学校で済ませている。断水が長引くのは本当に困る」と話します。
自転車で公園に来た女性(19)は「水が全然足りない」と話します。
「特にトイレで水を流せないのがつらい。運ぶのは今日2回目だけど、もう1往復する必要がある」と約11・5リットルの水を入れた複数のペットボトルをリュックに詰め込み、重そうに背負っていました。
(桑野白馬、矢野昌弘)
(「しんぶん赤旗」2016年4月19日より転載)
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