砂漠地帯の海岸に立地するマングローブ林は、重要な二酸化炭素吸収源であることがわかった−−。米スクリプス海洋研究所などの国際研究グループが、3月28日公表の科学誌『米科学アカデミー紀要』電子版に発表しました。開発に伴うマングローブ林の減少に警鐘を鳴らしています。
中米メキシコの太平洋岸に細長く延びるカリフォルニア半島は山がちで大半が砂漠に覆われていますが、海岸には汽水域(淡水と海水がまじりあっている場所)に生育できるいくつかの樹種からなるマングローブ林が存在します。研究グループは、これらのマングローブ林の根の下を詳しく調べました。
その結果、そこには厚さ4メートルに達する泥炭の層が存在していることがわかりました。泥炭は、分解が進んでいない植物体で、空気中の二酸化炭素を固定しています。カリフォルニア半島のマングローブ林は急傾斜の岩場にあり、気候変動で海面が変化しても、平らな海岸線にあるマングローブ林のように場所を変えることができません。このため、厚い泥炭層が発達しているとみられるといいます。
研究グループの試算で、カリフォルニア半島のマングローブ林は、木が生い茂った熱帯林の5倍の炭素を蓄積していることが判明。これらのマングローブ林の伐採は、根の下に蓄えられた炭素を、空気中に二酸化炭素として放出することになるとしています。
(「しんぶん赤旗」2016年3月29日より転載)