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再生エネの投資 昨年過去最大に・・途上国が先進国上回る/国連など報告

中国・新疆ウイグル自治区アクスにある太陽光発電所=2012年5月18日(ロイター)
中国・新疆ウイグル自治区アクスにある太陽光発電所=2012年5月18日(ロイター)

 世界の再生可能エネルギーヘの投資額が昨年(2015年)、2859億ドル(約32兆4000億円)で過去最大となり、風力・太陽光による発電能力も昨年は1億1800万キロワット増え、過去最大の伸びとなったことが分かりました。国連環境計画(UNEP)とドイツのビジネススクールによる報告書でこのほど明らかになりました。

 それによると、大規模水力発電を除く再生可能エネルギー(風力、太陽光、バイオマス、バイオ燃料、地熱、海洋エネルギー、小規模水力)への投資額は過去最大だった2011年を上回りました。この12年間の投資額は合計2兆3000億ドルに上っています。

 昨年の投資額のうち、再生可能エネルギーによる発電の新規導入に使われたのは2658億ドルで、これは石炭・天然ガス発電への投資額1300億ドルの2倍となりました。ただ発電量では、再生可能エネルギーは全体の10%を占めるにとどまっています。

 昨年、新たに導入された発電能力は、再生可能エネルギーが1億3400万キロワット、大規模水力が2200万キロワット、原子力が1500万キロワット、石炭火力が4200万キロワット、天然ガス火力が4000万キロワットでした。

 また昨年は、途上国での再生可能エネルギーヘの投資額が先進国での投資額を上回りました。中国とインド、ブラジルの3国を合わせて1560億ドルで、前年比19%の伸びとなりました。先進国は前年比8%減の1300億ドルにとどまりました。

 報告書の共同執筆者の一人、UNEPのアヒム・シュタイナー事務局長は「再生可能エネルギーが低炭素生活様式の中核となる状況がますます進んでいる。2015年の投資額が記録的となったことは、その傾向を示している」と評価しました。

 報告書を共同発表したウド・シュテフェン博士は、昨年パリで開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で採択された「パリ協定」で前向きの動きが示されたものの「まだ先は長い」と指摘します。

 「石炭火力発電所などの耐用年数は長い。今以上に政策的な介入を行わなければ、気候変動を引き起こす二酸化炭素の排出は、少なくとも今後10年間は続く」と警告しました。

(「しんぶん赤旗」2016年3月29日より転載)