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伊方1号機 廃炉決定 運転40年 採算判断・・四国電 3号機再稼働狙う

四国電力が廃炉を決めた伊方原発1号機(右端)と2号機(その左)、再稼働の準備を進める3号機(左端)=愛媛県伊方町

 四国電力は3月25日、運転開始から来年で40年になる伊方原発1号機(愛媛県伊方町)を5月に廃炉にする方針を決め、経済産業省に届け出ました。地元からは「廃炉判断はあまりにも遅い。2、3号機も廃炉にすべきだ」と声が上がっています。

 

 運転を延長するには、40年になる1年前の9月までに原子力規制委員会に申請する必要があります。四国電は1号機の再稼働を検討してきましたが、その前提となる対策の工事費負担が1700億円超に上ることを考慮し、運転延長を断念しました。東京電力福島第1原発事故後、原発の運転期間を原則40年と定めた国のルールに基づき、廃炉となる原発は昨春の5基と合わせ6基目。

 一方、四国電は同3号機について、原子炉起動前の最終手続きとなる使用前検査を同日、原子力規制委員会に申請しました。

 3号機は昨年7月、再稼働の前提となる新規制基準に「適合」しており、四国電は今年7月下旬の運転再開をねらっています。同社は2号機の再稼働を検討しています。

 国は福島第1原発事故後に、原子炉等規制法を改定し、原発の運転期間を原則40年とし、最長20年の延長を容認。延長には電源ケーブルの難燃加工などの対策を行った上で、新規制基準に基づく原子力規制委の審査を終える必要があります。

 伊方1号機は出力56・6万キロワットと、出力が比較的小さく、四国電は運転延長に必要な巨額の投資負担は採算に合わないと判断しました。伊方1号機は加圧水型軽水炉。福島第1原発事故後の2011年9月に28回目の定期検査に入り、運転停止が続いています。

 

経営優先やめ全基廃炉に

 原発の機器や設備は、高温、高圧の過酷な環境で使われ、振動による金属疲労や、熱疲労で壊れやすくなります。しかも伊方原発の近くには、日本最大級の活断層「中央構造線」が走っています。運転開始から40年になる伊方原発1号機の廃炉は当然です。

 しかし、四国電力が伊方原発1号機の廃炉を決めたのは、動かし続けるためにかかる費用が生み出す利益よりも大きいからという経営優先の考えからであり、安全を重視したためではありません。3号機は、国の新規制基準に「合格」したからと7月にも再稼働しようとしています。

 住民の訴えを認め、再稼働したばかりの関西電力高浜3、4号機の運転停止を決定した大津地裁は、再稼働を認めた国の新規制基準について東京電力福島第1原発事故を踏まえて形成されたのに、事故の原因究明は道半ばだと指摘しました。そのような状況で、3号機の再稼働など論外です。3号機を含め、全基を廃炉にすべきです。

(「原発」取材班)

 


 

あまりにも遅い判断・・伊方原発をとめる会の和田宰事務局次長

wada 伊方原発1号機廃炉の発表を受け、伊方原発をとめる会の和田宰事務局次長は次の見解を発表しました。

 本日、四国電力が伊方原発1号機の廃炉を表明した。2号機、3号機も廃炉にすべきである。それにしても、四国電力の「廃炉」判断は、あまりにも遅い。

 2014年3月段階で九州、中国、関西の各電力が一部原発の廃炉を決定した時期に判断できたはずである。14年9月には、1号機の真横に緊急時対策所の建股が表明されており、もはや1号機の再稼働など、四国電力自身が描けなかったはずである。翌15年3月には経産省の廃炉に関する制度改正も行われている。

 これまでに幾度も廃炉を判断し着手できる時期があった。にもかかわらず、四国電力が判断を先延ばししてきたのは、「廃炉」という仕事の存在を住民や事業者に示したくなかったのではないか。

 3号機再稼働を腐心し、いささかでも抵抗になる事態を避けようとしたとしか思えない。

 私たちはあらためて、伊方原発1・2・3号機すべてを廃炉にして、再生可能エネルギーの条件豊かな四国の特徴を生かした電力事業に転換することこそ、四国電力の選ぶべき道だと指摘したい。

 伊方原発再稼働の道は断じて選んではならない。

 

原発ない町づくりを・・STOP!伊方原発・南予連絡会の八木健彦事務局長の談話

yagi-takehiko 我々は伊方3号機の廃炉と1号機の廃炉をセットで追求してきました。原発の新増設の禁止とともに、廃炉も重要な課題です。原発推進勢力は「原発をやめれば町がダメになる」と言って原発を推進してきました。原発がない町づくり、原発なしで発展する地域づくりの第一歩にするべきです。

 2、3号機はあくまで再稼働するという、四国電力の意図が読み取れます。3号機をはじめ、2号機の廃炉もめざして、引き続き運動を強めます。

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(「しんぶん赤旗」2016年3月26日より転載)