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反原連・官邸前抗議4年 市民の意思象徴の場・・原発ゼロヘ 政権倒す/ミサオ・レッドウルフさんに聞く

首相官邸前抗議でコールをリードするミサオ・レッドウルフさん=3月18日
首相官邸前抗議でコールをリードするミサオ・レッドウルフさん=3月18日

 首都圏反原発連合(反原連)が毎週金曜日に行っている首相官邸前抗議は3月29日、4年を迎えます。「原発ゼロ」「再稼働反対」を訴えつづけ、188回に。反原連のミサオ・レッドウルフさんに、首相官邸前抗議が日本社会に与えた影響や意義、今後のとりくみについて聞きました。

(聞き手・伊藤紀夫)

 

 官邸前抗議を毎週つづけてきたのは、原発をとめるため、市民が声をあげるあの場所を閉ざさないためです。その結果、安保関連法案反対のたたかいでも国会前や官邸前で集会が行われるようになりました。市民運動全体で大きく集まれる、当たり前に使える場をつくってきました。脱原発だけでなく、他の運動に引き継がれたことは、すごくよかった。市民運動の広がりを実感できました。

 福島第1原発事故から5年。官邸前抗議だけでなく、全国の運動が原発再稼働を最小限にとどめてきました。その流れのなかで、大津地裁が高浜原発の運転を差し止める仮処分を決定しました。世論の7割、8割が「即時原発ゼロ」や「段階的ゼロ」を望んでいます。そこは固い地盤ができたと思います。

 官邸前抗議は、その市民の意思を象徴する場になっています。参加人数にかかわらず、行動がつづいている背景には、この世論があります。

 2014年のエネルギー基本計画は、原発をベースロード電源と位置づけ、再稼働を推進するものとなりました。世論に逆らって、この計画を閣議決定した安倍音三政権の独裁性が表れています。秘密保護法や戦争法の強行もそうですが、安倍政権であるかぎり、原発はとまらないし、なくせない。原発をなくすためには、安倍政権を打倒し、政権交代を実現するしかありません。

 官邸前抗議を始めた12年の夏には最大20万人が集まりました。その盛り上がりのなかで、民主党の野田佳彦首相と面談し、その政権が30年代に原発ゼロをめざすエネルギー政策を決めるうえで、一定の役割を果たしました。市民運動が政治にかかわり、一定の政策転換をさせたといえます。そういう運動がいま、当たり前のことになっています。

 野党共闘では、市民が野党をかつぎあげ、ボトムアツプしてきました。原発をなくすうえでも、今回の選挙では野党の勝利のため、私たちはできることをやっていきます。

 再稼働をめぐっては、一進一退の状況ですが、仮処分決定で高浜原発がとまり、川内原発1、2号機は10月、12月に定期検査のためにとまります。運動を広げれば、もう一度、稼働原発ゼロの日本にできるかもしれません。

 初心を忘れず、地道に、創意工夫もして、行動をつづけていきます。

 

参加者の思い・・続くこと大事■現状変えていく■行勤しないと・・態度で示す■安全神話を信じ反省■一自分の目で

雨の日も風の日も雪の日も 原発稼働反対、原発をゼロにと抗議する人たち=3月11日、国会正門前
雨の日も風の日も雪の日も
原発稼働反対、原発をゼロにと抗議する人たち=3月11日、国会正門前

 首相官邸前抗議は全国各地に広がり、それが圧力になって、2013年から15年にかけて約2年間、稼働原発ゼロになりました。ところが、世論調査で5〜6割が反対する国民の声に逆らって、再稼働を推進する安倍晋三内閣。雨の日も風の日も雪の日も、官邸前で粘り強く声をあげつづける人たちの患いは・・・。

(前田智也、田代正則)

 「昨年の春ぐらいから来るようになりました」。 18日の官邸前抗議に参加した東京都世田谷区の谷口祐人さん(22)は、大学生です。「ずっと続いていることが大事だと思う」

 福島第1原発事故の後、「日本の将来が見えない時期があった」。ツイッターで、官邸前で毎週抗議が行われていることを知りました。「デモや選挙など、現状を変えていく方法が見つかった。これからも参加したい」

 9ヵ月の娘をベビーカーに乗せ、7歳の息子を連れていたのは、東京都文京区に住む菅谷幸子さん(42)と智樹さん(42)です。「共働きで、ずっと来れなかった」と語る2人は、現在産休と育休中。昨年5月ごろから参加するようになりました。

 幸子さんは「震災後、自分で行動しないといけないと思うようになった。原発を動かす必要性は全くないと思います」。智樹さんは「どの問題でも安倍政権は国民の声を聞かない。選挙で自公の議席を減らしたい」といいます。

 長野市から初めて参加した二木玲さん(40)は、地元でドキュメンタリー映画「首相官邸の前で」を見て知り、「感動して、勇気が出ました」。“隠れ反原発派”だったという二木さんは「職場の同僚にも、原発について話すようになりました。これからも行動を続けてほしいし、私も地方で発信していきたい」と語りました。

 「世代も思想信条も違う人たちが、原発反対の一点で長くつづけている。こういう運動は今までなかったんじゃないでしょうか」。初期から参加しているという木村仁さん(40)=東京都小平市=です。

 横浜市の山内領子さん(66)は、原発再稼働や原発輸出に前のめりな安倍政権の姿勢を目の当たりにして、月1回くらいのペースで官邸前に通うようになりました。「事故のあとでそんなことするなんて信じられない。賛成していると思われては困るので、態度で示そうと思っています」

 会社員の男性(31)は「高浜原発の運転を差し止める仮処分決定がでた。また原発稼働ゼロを実現したい。野党共闘で選挙に勝てば、さらに大きく変わるんじゃないかと期待しています」といいます。

 「4年前から参加している」という、東京都立川市の牛尾勝己さん(68)は椅子になる箱を持参。座りながらコールを続けます。「毎週がんばっている人がいるから来れるんだ」。福島第1原発事故前までは「安全神話を信じていた自分がいた」。反省もこめて参加し続けていると話します。「原発は絶対にやめて、自然エネルギーに転換しなきゃダメです」初めて参加したという、千葉市の男性(18)は「春から大学生です」。友人と都内に遊びに来た帰りに立ち寄りました。「原発だけじゃなくて、安倍政権の強引なやり方がおかしいと思って来ました」。友人の男性(18)も初参加です。「今年から選挙にもいける。自分の目で政策を見極めて投票に行きたい」

 

 

ノーニュークスデイ・・3月26日、東京都の代々木公園

 原発ゼロ、再稼働反対を訴える統一行動「NO NUKES DAY(ノーニュークスデイ)」が3月26日、東京都の代々木公園で行われます。

 主催は、首都圏反原発連合(反原連)、原発をなくす全国連絡会、さようなら原発1000万人アクション、反原発運動全国連絡会。戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が協力します。

 ノーニュークスデイの準備のため、反原連は25日の首相官邸前抗議を休みます。

(「しんぶん赤旗」2016年3月24日より転載)