日本共産党の倉林明子議員は3月23日の参院財政金融委員会で、日本政府が100%出資する国際協力銀行(JBIC)が融資を検討しているインドネシアのバタン石炭火力発電事業で深刻な人権侵害が起きている実態を示し、融資中止を迫りました。
同事業は、広大な農地をつぶして巨大な石炭火発を建設するもの。総事業費45億ドル(約5000億円)のうちJBICが21億ドル(約2350億円)の融資を検討。融資期限が4月6日に迫っています。石炭火発は安倍政権のインフラシステム輸出戦略の大きな柱です。
事業発表以来、農地売却を拒んだ住民に対する推進派の暴力など人権侵害が常態化しています。倉林氏は、質問直前に現地から寄せられた情報として、建設予定地がフェンスで囲まれ農民が農地に入れなくなっていると指摘。JBICの渡辺博史総裁は「フェンスには24日以降立ち入りを中止するとの張り紙がされている」と認めました。
インドネシアの国家人権委員会は、同事業では住民に対する物理的・精神的脅威を含むさまざまな人権侵害が見られるとし「人権を重視し、慎重な融資検討を求める」とする書簡を日本政府と国会に送っています。
倉林氏は、世界の先進基準を参照すると定めたJBICの環境社会配慮ガイドラインに照らしても同事業の問題は明らかだとし「融資の中止を決断すべきだ」と迫りました。渡辺総裁は「環境社会配慮の確認を継続していく」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2016年3月25日より転載)