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福井敦賀LNG備蓄基地計画で、市民団体が安全性で市長に申入れ・・活断層の可能性を指摘

LNG基地計画の安全性について河瀬一治市長に申し入れる「中池見湿地トラスト」ゲンゴロウの里基金委員会=8月27日、敦賀市役所
LNG基地計画の安全性について河瀬一治市長に申し入れる「中池見湿地トラスト」ゲンゴロウの里基金委員会=8月27日、敦賀市役所

大阪ガスが福井県敦賀市の中池見湿地にLNG(液化天然ガス)備蓄基地建設を計画している問題で、計画の撤回と同湿地の全面保全などを求めている「中池見湿地トラスト」ゲンゴロウの里基金委員会は8月27日、河瀬一治敦賀市長に計画の安全性を求める申し入れをおこないました。

同湿地内に地殻変動の結果を示すリニアメント(直線的地形)の存在が認められ活断層の可能性が指摘されたことをうけておこなわれ、同委員会の代表7人が出席。�基地予定地内の活断層の有無、LNG基地としての適地性等の検討を市が第三者の専門家に依頼して実施する�大阪ガスが委託しておこなった地質関係の調査・資料を第三者の手で解析しその結果を公表する�安全確保のため考えられている具体策は何か、の三点を求めました。

市長は、大阪ガスの調査に、ふれ「信頼性をもっているので、再度専門家に解析を依頼する必要性は極めて少ない」などと答えました。会側も大阪ガスの調査について「活断層は調査されていない」「地質調査で122本のボーリングがなされた敦賀原発のときにくるべ20数本のボーリングにすぎない。私たちだけでなく大阪ガスも尋ねた専門家は、大阪ガスの調査内容が不十分なものといっている」などと指摘。そのうえで大阪ガスの調査結果を第三者の専門家に解析してもらう必要性をかさねて求めましたが、河瀬市長は明言をさけました。


◆敦賀LNG基地計画の安全に関する申し入れ書

1997年8月27日 敦賀市市長河瀬一治 殿

「中池見湿地トラスト」ゲンゴロウの里基金委員会

 敦賀LNG基地計画について、私たちが6月16日に申し入れた事項、およびこれに対する7月23日付の市長回答の2)に関連し、次の申し入れをいたします。

●申し入れの理由

私たちは前回の申し入れで、多くの専門家の意見として、

1)活断層については「企業の調査が不十分にもかかわらず『活断層はない』との結論が出されているが、基地内にリニヤメントが存在し活断層の可能性もあるので厳密な調査が必要である」

2)適地性については「予定地内に活断層がなくとも、中池見に大きい地震動が伝播した場合問題が多く、正確な解析が必要である」との指摘を受けたので、問題の重要性から考えこれを企業任せにせず、自治体の責任で専門家に依頼して、公正な調査・検討を行なうよう求めました。

これに対する市長回答では「活断層の有無並びに簿地性の調査・検討は企業が全責任を持つべきと考える。しかしながら、市としては市民生活の安全第一の観点から・・・安全性について必要があれば市独自で専門家の意見を求め、企業を指導することを検討する(一部省略)」と述べていますが、これは一般論です。私たちは一般論を尋ねたのでなく、市独自で専門家に依頼して調査を必要とする具体的な問題を提起し、その実施を申し入れたものです。

しかもこの件は、立地の適否に関わる重要な問題であり、本来なれば誘致を考慮する段階で十分な検討がなされるべきことで、急を要します。  大阪ガス(株)は私たちの問題提起後の6月25日、「基地建設予定地内の活断層の存在の可能性については、学識経験者のご指導を得ながら、引き続き詳細な調査を実施する」と発表していますが、これは今までの調査は十分でなく、さらに詳細な調査が必要であることを事実上認めたもので、このことは重大です。

LNG基地は一旦つくられれば子々孫々に関わる問題であり、安全確認を厳重に行なうことは子孫への責任です。それを当事者である企業の調査のみに委ねることは子孫に責任を持つこととはなりません。市長は常に「住民の安心と安全が第一で、二重.三重のチェックをする」と言っていますが、その言葉通り、ただちに市独自で専門家による調査・検討を行なうなど万全を尽くすべきです。

調査不十分のまま基地建設となれば、活断層の真上に危険物のタンクや施設が立つこととなり、また適地性の十分な解析がなければ、阪神大震災において7万人が避難したLPG漏れの恐怖が敦賀で再現することになりかねず、住民は一日も安心を得ることはできません。

敦賀市が市独自で自主的に専門家に依頼し、その指導のもとに地質・地盤の調査を実施した事例は、原子力発電所建設計画の際にあります。この時も施設設置者による地質・地盤調査が終了した後の、関係機関で安全審査が進められている状況でしたが、「敦賀半島北部に活断層の疑いもあるリニアメントの存在」(昭和55年活断層研究会刊行日本の活断層)が指摘されていることを重視した敦賀市が、専門家に依頼して行なったものです。

この調査結果をまとめた「原子力発電所周辺地域地質調査書」(昭和56年3月、敦賀市発行)の序文で当時の高木市長は「原子力発電が国策であるとの認識にたって、これに対処いたすものの先ず原子力発電所の安全確保が大前提であり、こうした観点から市長として事態を重視し、原発周辺の地質地盤を自主的に解明すべく京都大学石田助教授、奈良教育大学三辻教授の指導のもとに川崎地質株式会社にこの調査業務を委託した次第であります。」と述べています。

LNG基地の事故時の危険性は原発事故の危険性に優るとも劣らず、住民の安心・安全の確保は、敦賀市が建設開始以前にいかに対処するかにかかっています。  市長の速やかな決断と実行を求めるものです。

問題を提起してから相当期間経過した現在、十分な検討がなされていると考えます。 市としての具体的対応を求め、下記の申入れをいたします。

●申し入れの内容

1)市長回答で「安全性について、必要があれば市独自で専門家の意見を求め、・・・」と述べていますが、基地予定地内の活断層存在の有無及びLNG基地としての適地性の検討こそ、現時点における最重要課題の一つであり、専門家の意見聴取を必要とする事項です。  速やかに、市独自で第三者の専門家に依頼した調査・検討を実施されたい。

2)大阪ガスが委託して行なった地質関係の調査資料及び関係資料を、緊急に第三者の専門家に依頼して検討・解析を行い、その結果を公表されたい。

3)住民の安心と安全確保のために、敦賀市として現在までに採られた具体策及び現時点で考えている具体策を尋ねます。

 

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