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福井市で環境フォーラム。LNG基地建設計画・・中池見湿地の貴重さ確認

あの規模であれだけの野生生物が生きている場所は、米国では開発行為は許されない。(97/10/11)

講演する米スミソニアン環境研究センター植物生態部門主任研究員のデニス・F・ウィガム氏と通訳する河野昭一・京都大学教授(97年10月11日) 
講演する米スミソニアン環境研究センター植物生態部門主任研究員のデニス・F・ウィガム氏と通訳する河野昭一・京都大学教授(97年10月11日)

大阪ガスによるLNG(液化天然ガス)基地の建設計画がある敦賀市で環境保全などの活動をしている「中池見湿地トラスト」ゲンゴロウの里基金委員会の主催による「地球規模での湿地の危機を考える」フォーラムが10月11日、福井市フェニックスプラザに約百人を集めて開かれました。

国立環境研究所生物圏環境部生態機構研究室主任研究員の野原精一氏が「天然記念物、赤井谷地の自然とその保全」、米スミソニアン環境研究センター植物生態部門主任研究員のデニス・F・ウィガム氏が「チェサピーク湾、危機に瀕した湿地生態系」をテーマに講演。河野昭一京都大学総合博物館館長が通訳をしました

質問に答える国立環境研究所の主任研究員・野原精一氏
質問に答える国立環境研究所の主任研究員・野原精一氏

◆湿地を守るガイドライン(管理指針)の作成が急務

野原氏は、世界でも限られた湿原が、日本ではさらに開発、破壊などによって面積が失われる状況にあると指摘、「そういう自然を守るために、われわれの研究所では、どうしたら守れるかという科学的知見を得るため、いろいろな場所で調査研究を行っている」とし、「行政機関ではないので、科学的知見を得て、その結果を行政に反映するという立場をとる」と報告しました。

湿地生態系を守る管理の手法について、�湿地の現況を調査研究する。�どのように変質、劣化してきているか影響を解析する。�壊された湿原をどのように元に戻すかという研究の必要性を指摘。これらを調査したうえで、環境影響調査(アセスメント)など、開発ができるかどうかも含めたガイドライン(管理指針)の作成の必要性をのべました。

これに関連して、アメリカの現状についても報告、「アメリカでは、このガイドラインは法律的にできており、ある湿地を開発しようとすれば、他に湿地もしくは代わりの機能をはたす代替え地をつくらなくてはいけない。しかし、日本ではガイドラインもできていない。アセスメント法ができただけで、湿原を含めた生態系を管理、保存するということは(現在の法体系では)難しいと思う」とのべ、重ねてガイドライン(管理指針)の作成の必要性を強調しました。

◆赤井谷地は里山と集水域全体の保全が必要と強調

次に、赤井谷地(やち)の湿地を守る運動では、会津若松市の教育委員会が委員会(天然記念物赤井谷地沼野植物群落周辺部現況調査指導委員会)をつくり、赤井谷地をどうして守っていくかを考えるプロジェクトをはじめ、1996年2月に報告書をまとめたと報告。この知見をもとに、「提言」がまとめられ、これが「行政に反映されていくと思う」とのべました。また、赤井谷地の高層湿原では山全体とともに集水域全体を含めて残していくことを強調しました。

会場からの「中池見を守るにはどうしたらいいか?」の質問に「(トラストなど)闘争するのではなくて、環境庁を動かすような運動をしていった方がよいと思う。中池見のような運動をしているところは他にもあるのでネットワークを組み協力、共同したらよい」と思う。また、赤井谷地のように「文化財に指定してもらう」というのも一つの手だと思うとのべました。 あの規模であれだけの野生生物が生きている場所は、米国では開発行為は許されない。

ウィガム氏は、チェサピーク湾周辺の現状について、農業などに過剰に使われる肥料の中のリン酸、窒素及び毒性をもった科学物質が、低湿地だけでなくアメリカでも唯一、亜熱帯の植生が存在している場所で、水系の変化による影響が出ていると報告。これには湾に流れ出てくる有機物量をコントロールが必要で、それには河口付近の低湿地の確保が重要であるとのべました。

また、急務となっている小規模で人の生活と隣接している低温地の保全には多様な手法があると指摘。「昨日訪れた中池見湿地は、あの規模であれだけの野生生物が生きているところであれば米国では開発行為は許されない地域という印象をもった」と語りました。

◆子どもの教育の場として、身近な場所の湿地の保全を

カーネギー自然史博物館のフレデリック・ユーテック氏は、低湿地の保全の問題は、地域の環境を保全し、そこの貴重な動植物層を将来にわたって保全・保護するというのは当然ですが、大事なのは子どもたちの教育の場として身近な場所にある低湿地の自然を残していく。完全に人間の生活から遊離された自然ではなく、水田があって農耕を続けながらそれに隣接した環境の中で子どもたちに自然を学ばせることが大切ではないかと思うとのべました。

◆中池見を「フィールドミユージアム」として残す

最後に、主催者側から中池見トラスト代表委員の三谷さんは、「中池見の問題では、現在そこに計画されているガス基地建設を止めることが、保全の緊急課題となっている」と報告。あわせて、かねてより課題となっていた中池見を子どもたちの自然学校教育の場としてのフィールドミユージアムにする構想にとりくみ、ねりあげたものをみなさんに示したいと報告しました。

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