東京電力福島第1原発事故発生から間もなく5年―。「しんぶん赤旗」は2月25日、本紙チャーター機で、先のみえぬ事故収束作業が続く現場を、上空から取材しました。
(中村秀生)
事故前は同じデザインで整然と並んでいた1~4号機の原子炉建屋。爆発で建屋上部が吹き飛び廃虚のような姿をさらしていた1、3、4号機は現在、それぞれまったく異なる姿をしていました。
現在も建屋上部の破壊された状況が目に付くのが3号機。そばには赤・白色のクレーンが見えています。1号機は、ガレキ撤去にむけ、白い建屋カバー内で作業が進んでいます。4号機には、原子炉建屋に覆いかぶさるように新たな構造物が作られ、まったく別の建物のようです。
無残な状況が見えにくくなった現場。しかし、高い放射線量に阻まれ、作業は困難を極めています。取り出しが完了した核燃料は4号機の核燃料プール内だけ。溶け落ちた燃料デブリがどこに、どのような状態で存在しているのかさえ不明です。潮風にさらされ腐食による倒壊が心配される高さ120メートルの1、2号機排気筒にも近づけません。
建屋山側には、構内の森を伐採して設置された約1000基の汚染水タンクが所狭しと並んでいます。高濃度汚染水が毎日500トン規模で新たに発生し、1000トンタンクが2日で満杯になる勢い。タンク容量はひっ迫しています。
みえぬ廃炉の道。奪われた時間の重さが現場にのしかかります。
(「しんぶん赤旗」2016年2月26日より転載)