東京電力は2月22日、福島第1原発でタンクに保管されている放射能汚染水のうち、放射性物質を吸着して濃度を大幅に下げる装置「ALPS」(アルプス)で処理していない量が約16万トンあり、今年9月末でもほぼ変わらないとの見通しを示しました。
東電は、昨年5月から1年程度かけてタンクに保管している汚染水は全てALPSで処理すると説明していました。原発事故発生から5年近くたっても汚染水への対応が想定通り進まない実態が浮き彫りとなりました。
東電によると、今月18日時点でALPSで処理していない汚染水は約16万1000トン。9カ月前の昨年5月から約1万8000トンしか減っていません。汚染水がたまる建屋に地下水が流入し、量が増え続けていることなどが原因です。
東電が22日に示したシミュレーションでは、5月中旬までの汚染水の増加量は1日約500トン。タンクの保管量は増え続け、凍土遮水壁など地下水流入量の抑制策が機能すると見込む同時期以降を約250トンとして計算しても、9月時点の未処理量は現在とほとんど変わらないといいます。
処理後は、汚染水のストロンチウム濃度が1リットル当たり数百万ベクレル程度から数十〜数百ベクレルとなります。処理済みの水は新設の溶接タンクに保管する方針ですが、18日時点で空き容量は約1万2000トン程度しかなく、余裕が乏しい状況となっています。
(「しんぶん赤旗」2016年2月24日より転載)