東京電力福島第1原発で増え続ける放射能汚染水対策として経済産業省と東電が2015年度中の凍結完了を目指していた、1~4号機の地下の四方を“氷の壁”で囲う凍土壁(陸側遮水壁)の運用に関し、東電は2月15日、当面は海側の閉合を先行させ、山側については段階的に閉合させる方針を示しました。同日開かれた原子力規制委員会の検討会で明らかにし、規制委も海側先行の方針に異論はありませんでした。しかし、この方針で、地下水の抑制効果はどこまであるか見通せません。
凍土壁は、地下水の流れを完全に遮断して、建屋に流入する地下水量を減らし、汚染水の増加を抑えるのが狙い。
運用をめぐって、建屋周辺の地下水位が異常に低下し、建屋内の汚染水が周辺の土壌に流出する危険性が懸念されています。このため、東電は、凍土壁の海側を先に凍結させ、その後、山側を段階的に凍らせると説明しました。規制委側は、「懸念はおおむね解消された」としました。
現在、建屋に流れ込む地下水と、くみ上げて建屋に移送している汚染地下水量は1日当たり約550トン。凍土壁の海側のみ閉合した場合、同約270~330トンと見込んでいます。
また、東電は、山側の凍土壁を閉合後に想定外に地下水位が低下した場合、地下水位の回復方策として、(1)凍結運転の停止(2)凍土壁の部分撤去(3)井戸から注水するなどと説明。凍結運転を停止して、凍土壁が自然融解して地下水位が回復するまでに、8カ月以上かかることを明らかにしました。
凍土壁の準備工事は9日に完了しています。
(「しんぶん赤旗」2016年2月16日より転載)