日本共産党の高橋千鶴子議員は2月15日の衆院予算委員会で、福島第1原発事故の被災者に寄りそった賠償に背を向けている東京電力の姿勢を厳しく批判し、被害の実態などに応じた支援・賠償を強く求めました。
高橋氏は、「帰還困難区域」が町総面積の8割以上を占める福島県浪江町で住民1万6千人が慰謝料増額を求めた申し立てについて、東電が要求よりかなり少なめの原子力損害賠償紛争解決センター(ADRセンター)の和解案さえ拒否し続けている問題を追及。申し立てから3年近い歳月がたち440人以上の町民が亡くなっていること、家族すら全国にバラバラになっている現状を切々と訴えました。
東電が▽被害者の方々によりそい賠償を貫徹する、▽和解仲介案を尊重する―などと宣言した「三つの誓い」を示した高橋氏。「この誓いは変わったのか」と迫ると、広瀬直己・東電社長は「一律に増額するのは受け入れがたい」と述べ、被災者の願いに背を向けました。
高橋氏は「浪江町に限った問題ではない」と強調し、東電を批判するADRや国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)での議論を次々に示しました。
ADRは、東電による和解案の受諾拒否は「誠に遺憾であり、強く再考を求める」と所見で明記。原賠審の委員は、賠償指針を口実にして増額を拒否した東電に対し、「指針はあくまで目安で、明記されていない損害でも東電は合理的かつ柔軟な対応が求められる」と批判しています。
高橋氏は、東電が賠償の前提に「相当因果関係」や「合理的な範囲内」を持ち出していることをあげ、「加害者の東電が、賠償すべき根拠の有無をジャッジ(判定)するのは逆立ちだ」と批判すると、広瀬社長は「個々の事情に配慮して、丁寧な対応に心掛けたい」などと言い訳しました。
高橋氏は、ADR和解案の尊重を重ねて要求。林幹雄経済産業相は「東電が最後まで賠償責任を果たすのは大前提。丁寧な対応を求め、それを注視したい」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2016年2月16日より転載)
生活再建支援金の拡充を・・高橋氏要求 自力再建は復興の土台/衆院予算委
日本共産党の高橋千鶴子議員は2月15日の衆院予算委員会で、東日本大震災から5年を経ようとしてもなお住宅再建に至らない被災者の実態と痛切な声を突き付け、最大300万円にとどまっている被災者生活再建支援金の拡充を強く迫りました。
東日本大震災をめぐっては、今年1月14日現在も17万8000人が避難生活を送っています。にもかかわらず、安倍晋三首相は施政方針演説で「復興は新たなステージ」などと強調しました。
高橋氏は「立派に道路や建物が立ち並んでも、人々の暮らしと生業(なりわい)が再建されなければ、真の復興とはいえない」と述べ、住まいの再建について、被災者生活再建支援金の基礎支援金を受け取った世帯のうち36%が住宅再建の目安になる加算支援金を受け取っていないことを示し、「支援金を500万円まで拡充、支援対象を一部損壊まで広げるなど改正に踏み切るべきだ」と求めました。河野太郎防災担当相は「自助共助を促すために保険や共済への加入を促進していく」と述べるにとどまりました。
高橋氏は、岩手県では県・市町村が独自の住宅再建支援策を設けて500万~1000万円超の補助を実現し、定年を過ぎている被災者たちが住宅再建に踏み切っていることを紹介。「自力再建は単なる個人の財産問題ではなく、地域づくり、復興の土台という公共的役割がある」「あとひと押しの支援で自力再建につながるなら、むしろ費用対効果は大きい」として国の直接支援を重ねて求めました。安倍首相は「被災者の方が安心して生活できる住宅に移れるよう全力をつくす」と述べつつ、基本はあくまで県や市町村の独自支援策との立場を示しました。
さらに、高橋氏は政府が震災「孤独死」の数を把握していないことを追及しました。震災後、仮設住宅で亡くなる単身居住者数も増え続け、その半数近くが65歳未満となっていることを指摘。「誰にもみとられず亡くなった者」として「孤独死」の数を公表している阪神・淡路大震災の例などを示し、「『孤独死』をきちんと定義、把握した上で、対策をとるべきだ」と主張しました。高木毅復興相は「どのように考えていくか検討したい」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2016年2月16日より転載)