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高浜原発再稼働で嶺南センターが申し入れ・・住民無視、関電が受取拒否

関電高浜原発再稼働・・住民の安全を守り、原発のない安全、安心なふるさとを子や孫に残すため、がんばり

ます。(山本貴美子敦賀市議のブログより)

 高浜原発が夕方5時に再稼働するということで、原発住民運動福井・嶺南センターで申し入れに行きました。

 高浜原発が近づくにつれ、ものものしい厳戒態勢。

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 一人ひとり、どこから来た、なんという名前か等々…警官に聞かれました。

 善良な市民に失礼な対応です。

 金沢からの動員らしい…それはそれで大変ですね。

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 高浜原発のゲート前で、「申し入れを受け取って欲しい」と求めると、警官に取り囲まれ、冷たい雨の中、長い時間、待たされました。

 

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 威圧的な態度の警官に、渡辺たかし高浜町議「住民を犯罪者扱いするな!」と抗議する場面も…。

 そして…なんと、関電の守衛が出てきて受け取り拒否。

 交渉に応じられなくても、「申入書」を受け取るだけ受け取っても、バチはあたるまい。

 渡辺町議が「これでまた、原発事故の不安にさらされる」とポツリ。
新規制基準で求めている電気ケーブルの分離敷設について、川内原発と高浜原発だけ調査報告が免除。

 新規制基準で求めている免震棟も高浜原発にはありません。

 住民の避難計画も十分ではありません。 しかも、高浜原発はプルサーマル運転で、他の原発よりリスクが高いのに、プルサーマルについては、審査基準がないため不問です。

 その他、運転すると出てくる使用済み燃料…処理ができない、廃棄もできないのにどうするのか…。

 地震、津波の問題も解決していません。

 それなのに…反対住民の声には耳を貸さず、夕方5時に再稼働されてしまいまいした。

 来月、4号機の再稼働が予定されています。

 引き続き、これからも住民の安全を守り、原発のない安全、安心なふるさとを子や孫に残すため、がんばります。


1月9日、関電本社にファクスした申し入れの全文を紹介します。

 

高浜原発3、4号機の再稼働中止を求める申入書

 関西電力株式会社

社長  八木 誠 殿

 2016年1月29日

原発住民運動福井・嶺南センター

代表委員 岩本敏行、北原武道

河本 猛、渡辺 孝

平川幸治     

 

 貴社の高浜原発3、4号機の安全性について、福井県原子力安全専門委員会(以下、県専門委)は、昨年12月19日、「工学的な安全性が向上しており、必要な対策は確保できている」とする報告書を西川一誠知事に提出。それを受けた知事は、「安全性は一段と高まっていると感じた」と述べ再稼働に同意した。さらに貴社は、福井地裁が再稼働を差し止めた仮処分決定を異議審で取り消したこと受けて、再稼働をすすめている。

 しかし、周辺には15基の原発が集中立地し、地震・津波による同時多発事故の危険性は検討すらされていない。事故が起きれば、福井県だけでなく京都府や滋賀県などの住民にも被害が及ぶのに、避難計画は未確立で不十分なままである。

 また原子力規制委員会(以下、規制委)は、新知見と国際的基準に基づく科学的な審査・検討をせず再稼働を認めたものであり、その後も新規制基準(以下、新基準)に違反する電気ケーブル問題などが起きている。ついては、以下に問題点を指摘し、道理のない再稼働の強行は中止するよう求めるものである。

 

【緊急の課題】

 ①電気ケーブル不正敷設問題は、規制委が昨年2月に新基準に適合していると認めた後に発覚し、規制委がすべての事業者に報告を求めたもの。新基準では、原子炉の保護・制御系の安全上重要な機器のケーブルは、火災の影響軽減のために複数系統を用意し、それぞれ分離して敷設することを求めている。ところが、原発の安全性にかかわる重大問題であるにも関わらず、高浜原発3、4号機と稼働中の川内原発については調査報告が免除されている。稼働中に火災事故が発生すれば重大事故は避けられない。よって、高浜3、4号機の再稼働を中止し、速やかに調査を実施し住民に公表すること。

【深層防護・・4層、5層にかかわって】

 ②貴社は、福島事故の教訓を踏まえ免震構造で放射線遮へい性能等を有した免震事務棟を設置すると説明してきたが、その後、設置は自主的計画とされた。県専門委は、貴社が1〜4号機共用の緊急時対策所(免震機能無し・18年初旬に運用開始)を造ることで了解しているが、新基準では免震機能を求めており、新基準に違反する。また、規制委では建設を5年間猶予しているが、中央制御室に代わる重要施設であり、免震機能を有する緊急時対策所の完成なしに再稼働は論外である。よって、高浜3、4号機の再稼働を中止すること。

 ③過酷事故時に、炉心冷却の確保と放射能拡散防止に欠かせないフイルター付き格納容器ベントの設置について県専門委は、「特定重大事故等対処施設の設備の一つとして位置づけたことから、・・詳細な情報については、非公開の扱いとなった」ことを理由に、有効性の審査・検討を行わなかった。また、規制委では設置を5年間猶予しているが、コアキャッチャーが設置されていない高浜原発で炉心溶融事故が起きればフクシマの二の舞になりかねない。よって、有効なベントシステムの設置なしに、高浜3、4号機の再稼働を中止すること。

 ④最後の砦、5層にあたる住民避難について、ヨウ素剤の配備も含め規制委はまったく審査・検討していない。貴社は、避難計画を国や自治体任せにしているが、福島原発では5年近くたっても事故は収束せず、放射能漏れで周辺の多くの住民は避難生活を続けている。福島事故に学び、原発から30キロ圏内の住民及び、避難先自治体の受け入れ体制を含む実効性ある住民避難計画が作成された上で、周辺住民に説明し実効性ある避難訓練が実施・検証され、その住民の合意が得られるまで、高浜3、4号機の再稼働を中止すること。

【深層防護・・1層〜3層にかかわって】

 ⑤地震対策について、県専門委の田島俊彦委員は、多くの学者が地震の活動期に入ったと指摘していると話した上で、「基準地震動700ガルについて、岩手・宮城内陸地震で3,866ガルと4,022ガルが記録されている。・・謙虚になり、真剣に考えてはどうか」と述べた。これに対し、同委の中川委員長は「高浜と比較するのは学問的でない。・・飛躍している」と反論し、貴社を擁護した。しかし、基準地震動を決める場合、若狭の原発周辺の地下構造を掌握することは地震学・地質学では常識である。ところが、地震発生層といわれる5〜20キロの深さについては地下構造の調査がおこなわれておらず、貴社でも調査・検討がされていない。したがって、基準地震動の策定に欠かせない、原発周辺の上林川断層帯と山田断層帯、Fo-A〜Fo-B〜熊川断層などがどこまで達しているのかすらわかっていない。

 よって、高浜3、4号機の再稼働を中止し、貴社として上記の調査をし、結果を生データを含め公表すること。

 ⑥津波対策について貴社は、「発電所周辺の断層や地盤構造の調査結果等をもとに基準地震動、基準津波を策定したが、今後も、地震に係る学術論文や研究成果等の知見を引き続き収集し、地震動評価等に反映させていくことが重要である」と述べているが、最新の知見で調査・検討されていない。

 若狭地域周辺の断層は、Fo-A〜Fo-B〜熊川断層、敦賀断層、B断層〜野坂層という断層域に囲まれたブロックと、Fo-A〜Fo-B〜熊川断層、上林川断層、山田断層帯という断層域に囲まれたブロックで構成された共役断層帯で、この2つのブロックも東西方向に圧縮されて鋭角の方向と鈍角の方向に菱形に割れ、そのとき地震が発生する。この地震が湾内で起こる場合、津波は沖からくるのでなく、地盤ブロックの湾底の上昇、または陥没で起こる。また、リアス式海岸の影響で津波の海水の動きは複雑となり、局所的に水面が異常に高くなる場合もある。さらに、原発の直近の津波の場合は、ブロック境界断層の活動により地震が発生するため、津波発生と襲来までの時間は極めて短時間である。ちなみに1026年「万寿地震」で20メートルを超える「万寿津波」が島根県益田周辺を襲ったという文献が残されており、福井県でも大津波の文献や痕跡が多くある。

 よって、高浜3、4号機の再稼働を中止し、この地域について、貴社として5〜20キロの深さの地震発生層の調査はもちろんのこと、山体崩壊、深層崩壊など十分に調査・検証し、結果を生データを含め公表すること。

【その他】

 ⑦テロ対策で、使用済核燃料プールが補助建屋にあり、堅牢な施設に囲われていないことについて、県専門委の田島委員が航空機の落下事故の確率について、「テロリズムの方が意図的であるためもっと確率が高くなる。それに対して対策はしなくてよいのか」(昨年5月7日)と質問。規制庁の天野安全規制官補佐は、「なにぶんテロ対策の機密な情報」と述べ、非公開の扱いとなったため、同委でも十分な審査・検討はできなかった。この問題は複数の委員が疑問や異論を述べている。また、多くの住民が不安に思っているが、貴社や国は十分説明していない。

 よって、すべての対策が公開され、有効性が確認されるまで高浜3、4号機の再稼働を中止すること。

 ⑧汚染水対策について、設置許可基準の第55条で、過酷事故が発生したときに「放射性物質の拡散を抑制するために必要な設備を設けなければならない」と定めており、規制庁職員は「格納容器から漏れ出る気体の放射能を放水砲で打ち落とし、汚染水となった水は、シルトフェンスで海への拡散を抑制することを確認しています」と説明している。しかし、昨年3月6日の県専門委では、田島委員から「シルトフェンスの穴は原子と比べると大きな穴で、あってないようなもので拡散する」との指摘があった。よって、シルトフェンスの放射能拡散抑制機能は疑問である。

 また、過酷事故時に格納容器内に大量に溜まる高濃度の汚染水対策について、一時貯水タンクの設置場所が確保できないことなど、県専門委でも十分に審査・検討されていない。一昨年11月20の同委では岩崎行玄委員が、「(こうした注水設備を設置する際には)高濃度の汚染水を処理するところまでセットで計画を立てていただきたい」と述べている。よって、汚染水対策は不十分であり、高浜3、4号機の再稼働は中止すること。

 ⑨高浜3、4号機ではプルサーマル運転を前提に再稼働がすすめられようとしている。しかし、新基準でプルサーマルの安全性を評価する審査基準(規則・ガイド)はなく、県専門委でもまったく審査していない。また、使用済MOX燃料は再処理の方法が決まっておらず持ち出す所がない。半永久的に高浜に置かれることになり危険がさらに増すことになる。よって、危険で見通しがない高浜3、4号機の再稼働を中止しプルサーマル運転はやめること。

 ⑩過酷事故時の高浜原発からの放射性物質の放出量について、国は、「原子力規制委員会が新規性基準で求めた様々な対策により、環境への放射性物質 (セシウム137)の放出量は7日間で4・2テラベクレル程度、すなわち福島原発事故とべて 3桁低いレベルに抑えられる」(京都府主催:第4回高浜発電所に係る地域協議会:内閣府 参考資料2)と説明している。これは、住民の避難計画に関係し過小評価であれば住民に多大な被ばくを強いることになるにもかかわらず、県専門委などでもほとんど検討されていない。よって、高浜3、4号機の再稼働を中止し、福島事故の教訓に学び、十分に検討を行うこと。

以上

(2016年1月9日、山本雅彦)