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原発交付金で再稼働迫る・・2016年度予算案の焦点/エネルギー・宇宙

茨城県行方市にある情報収集衛星の地上施設、内閣衛星情報センター北浦副センター
茨城県行方市にある情報収集衛星の地上施設、内閣衛星情報センター北浦副センター

 エネルギー対策特別会計は2015年度比419億円増の8384億円です。増額の多くは、地球温暖化対策税の段階的な引き上げに伴うものです。しかし、再生可能エネルギー予算は、15年度比138億円増の1366億円にとどまっています。

中間貯蔵施設負担肩代わり

 原発再嫁備に向け、「原子炉の安全技術の強化等」に91・5億円を計上。東京電力の負担を肩代わりする福島第1原発事故の放射性汚染物質の中間貯蔵施設整備に350億円を計上しました。

 原発立地自治体に国が交付する電源立地地域対策交付金は、15年度比43億円減の869億円です。福島事故後、稼働していない原発に適用してきた一律81%の″みなし稼働率″引き下げによるもの。16年度以降は、68%を上限に、原子炉ごとに福島事故前10年間の平均稼働率を適用します。再稼働した原子炉は実際の稼働率を当てはめます。交付金減額で自治体を再稼働に駆り立てるものです。

 国から市町村へ直接交付される分については、急激な引き下げによる影響を緩和するための措置や下限が設けられました。道県分については激変緩和措置も下限もありません。減額の影響は、新潟県が最も大きく、知事が再稼働に慎重な姿勢をとっている同県を狙い撃ちにしたものとの指摘もあります。

宇宙軍拡推進・・4年連続増額

宇宙軍拡を明確にした「宇宙基本計画」に基づき、情報収集衛星(軍事スパイ衛星)に619億円(15年度比5億円増)、準天頂衛星に142億円(同1億円減)を計上しました。情報収集衛星の予算は、第2次安倍晋三政権発足後、4年連続の増額です。

 「基本計圃」は、情報収集衛星について現在の基幹衛星4機体制から、時間軸多様化衛星4機、データ中継衛星2機を加えた合計10機の整備目標を掲げています。

 データ中継衛星は、他の衛星が日本の遠隔地で撮影した画像データを中継することで、撮影から受信までの時間を短縮するもの。安倍政権が目指す自衛隊の地球規模での活動を補完することが狙いです。開発予算として46億円(同32憶円増)を計上しました。

 準天頂衛星システムは、ミサイルの誘導や艦船のナビゲーションに使われる米国の全地球測位システム(GPS)を補完し、米国の宇宙軍事戦略を補強するもの。現在の1機体制を18年までに4機体制に、23年までに7機体制にする計画です。情報収集衛星、準天頂衛星とも三菱電機が開発を担っています。

 米国と連携して他国の衛星や宇宙ごみを監視する「宇宙状況把握」システムに10億円(同8億円増)を計上しました。

(「しんぶん赤旗」2016年1月21日より転載)