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高浜地裁決定 住民「たたかい続ける」・・司法の役割裏切った 原発ゼロヘ“思い何倍にも”

 「不当決定は許さんぞ。最後まで、たたかうぞ」。福井地裁が関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働差し止め仮処分決定を覆す不当な決定を出した12月24日、裁判所前に集まった住民側の支援者らから怒りのシュプレヒコールが上がりました。

 「原発再稼働ストップ」と記したプラカードや、のぼり旗、横断幕などをかかげた人だかりの中で、申し立て人の住民らや弁護団が訴えました。

 「亡国の決定を許すことはできない。決定を覆すために、たたかい続ける」「希望を与えた決定を無駄にして恥ずかしくないのか」との怒りの声が続きました。

 代理人の井戸謙一弁護士は「行政や立法が国民の人権を踏みつけにして(再稼働に)暴走するとき、それをチェックするのは司法しかない。(決定は)その司法の役割を裏切った」と憤りの気持ちを表しました。

 高浜町の東山幸弘さん(69)は「司法は変わると思ったが、前にもどったみたいだ。フクシマは何だったのか」と不信感を示しました。

 京都市の女性(50)は「悔しい、悲しい。人の心を持っているのか。みんなで声を上げ、原発ゼロに向けて頑張っていかないといけないという思いが2倍にも3倍にもなった」と話しました。

 日本共産党の渡辺孝高浜町議は「司法が国と電力会社に抑えつけられた。あきらめず、たたかう」と話しました。

 申し立て人と弁護団はそれぞれ、たたかい続ける声明を発表しました。

 

弁護団が声明

 福井地裁高浜原発異議決定について、弁護団は24日、声明を発表しました。

 声明は、新規制基準の不合理性など住民側の指摘に真摯(しんし)に答えることなく、「規制委員会の判断に追随するだけの形で関西電力の主張を容れ、住民側の主張を無視する判断」をした決定だと指摘。「東京電力福島第1原発事故に何ら学ぼうとしない、避難を強いられている福島の人々の思いに向き合わない、不当な決

定」と述べています。

 また、異議決定の時期がこの日になったことについて、「高浜原発3、4号機の再稼働スケジュールに配慮した、結論ありきの決定」と批判しました。

 

あしき3・11 前のやり方・・原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員 伊東達也さん

原発事故いわき訴訟 伊東達也・原告団長

 規制基準は「合理的」どころか、大事故の防止としては欧州などの原発で採用されているコアキヤツチヤーを求めていないし、格納容器の2重化も求めていません。原発の耐震強度を決める上で重要な基準地震動の問題では、巨大地震に対応するようなものではありません。従来基準の延長線上で、若干耐震性を強化しただけです。

 避難計画にいたっては、自治体に丸投げ状態で、規制基準に位置づけられてすらいません。安倍首相などがいう「世界で一番厳しい水準の基準」は、まったく根拠がありません。

 そういうものに合理性があるという決定は、国の規制基準などが、手続きや形式的に法律に違反しているわけではない、だから問題がないとする、3・11前の裁判で繰り返された論理に逆戻りしているのです。

 原発事故が一度起きればとんでもない被害をもたらすことが明らかになりました。

 今回の決定は、経済よりもなによりも、人間の命と人権が最高の価値だという視点がありません。国の再稼働方針に沿った線でものをみる、あしき3・11前のやり方、考え方であり、大きな問題です。

(「しんぶん赤旗」2015年12月25日より転載)