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COP21閉幕・・温暖化防止の合意 着実実行を

 国連気候変動枠組み条約にもとづき2020年以降の地球温暖化防止の新たな枠組みについて協議していた21回目の締約国会議(COP21)は、「パリ協定」で190余りの参加国がそろって温室効果ガスの削減に取り組むことを確認しました。世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べ2度未満に抑える目標とともに、海面上昇に苦しむ島しょ国などの訴えにもとづき1・5度未満に抑えるという目標も明記しました。各国の温室効果ガス削減目標は5年ごとの見直しが義務付けられます。歴史的な削減合意を進めるうえで日本の責任が改めて問われます。

1.5度未満の目標も

 1994年に発効した気候変動枠組み条約にもとづく温室効果ガス削減の枠組みは、これまで97年の京都でのCOP3で採択された「京都議定書」(2007年に発効、20年まで)がありますが、削減目標は一部の国しか義務付けられておらず、アメリカは調印したものの01年に議定書から離脱、日本も13年からの第2約束期間には参加していません。このため京都議定書に代わる新たな枠組みが長年にわたって検討されており、今回のパリでのCOP21でようやく合意にこぎつけたものです。

 議長国を務めたフランスが「世界全体が参加する前例のない合意だ」というように、「パリ協定」は条約に参加する196カ国・地域のすべてに温室効果ガスの削減を求めています。世界のほとんどです。批准の手続きと発効要件を明記し、法的拘束力も持ちます。

 地球全体の気温の上昇を2度未満にするというこれまでの国際社会での合意とともに、とくに島しょ国などが求めた1・5度未満の目標も盛り込みました。長期的には今世紀末までに、人間の活動が原因となった温室効果ガスの排出量を森林などでの吸収量の範囲内に抑える「実質ゼロ」の目標も明記しました。まさに画期的です。

 COP21の開会までに185カ国が提出した削減目標では「2度未満」は達成しません。「パリ協定」は各国の目標自体は義務付けなかったものの、5年ごとの見直しを義務付け、その際は目標を前向きのものにするよう促しています。参加各国が積極的に取り組むことに地球の未来がかかっています。

 COP21で歴史的な合意が実現したのは、地球温暖化の急速な進行が引き起こしている被害の大きさを、国際社会が深刻に受け止めたからです。度重なる異常気象、生態系の破壊に加え、異常な干ばつや海面上昇は発展途上国などで、人命そのものにかかわる事態を引き起こしています。いま対策に力を合わせなければ間に合わなくなるという世界が強める危機感を直視する必要があります。

日本は国際的責任果たせ

 これまで新しい枠組みの合意が実現しなかったのは、大量に温室効果ガスを排出してきた先進国と発展途上国が対立したためです。「パリ協定」はいままで以上の途上国支援について合意しました。

 日本はアメリカ、欧州連合(EU)などと並ぶ排出大国です。日本が提出した削減計画は30年に1990年比で18%削減するという全く不十分なものです。石炭火力への依存でもひんしゅくを買っています。日本政府が削減の達成でも途上国支援でも国際的責任を果たすかどうかが注目されます。


きょうの潮流

 地球温暖化対策を強化、継続していくことを世界が決意しました。パリで開かれた気候変動枠組み条約第21回締約国会議に参加した196カ国・地域が採択した、2020年以降の対策についての枠組み「パリ協定」です。

 長期目標として世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ1・5度未満に向け努力を続け、今世紀後半には、人間活動による温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにしていく方向を打ち出しました。

 世界第5位の排出国である日本の責任は重いものがあります。安倍首相が「日本は26%削減という目標に向けて削減に取り組む」との談話を発表しました。排出が過去2番目に多かった13年を基準にしたこの目標は、内外から「低すぎる」と批判されたもの。

 国際交渉の基準となる1990年を基準にすれば18%にしかならない、先進国で「最低レベル」だからです。4月に政府が発表した際、国際的にそん色ないと見せかける「奇策」と環境団体から指摘されたのも当然です。

 今回の協定では、長期目標に向けて各国が国内対策を強化することを求めています。なのに、「低すぎる」と批判のある目標でよしとする安倍政権に、温暖化の脅威を最小限にしなければという認識が欠けています。

 目標の前提が、政府が決めた30年時点の電源構成です。温室効果ガスを大量に出す石炭火力を「ベースロード電源」にし、太陽光や風力の伸びを抑える内容は、世界の決意に逆行しています。これを変えさせることが、私たちの課題です。

(「しんぶん赤旗」2015年12月15日より転載)