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日印首脳会談 原発輸出で原則合意・・武器輸出協定も署名

 安倍晋三首相は12月12日、インドのモディ首相とニューデリーの政府迎賓館で会談し、日本からインドへの原発輸出を可能にする原子力協定の締結について原則合意しました。

 日本が核不拡散条約(NPT)非加盟国と原子力協定を結ぶのは史上初。第2次安倍政権発足後、続いている原発輸出のトップセールスは、重大な段階に入りました。

 インドは1998年に核実験を強行し、以来、核弾頭の保有数を増やしています。日本が原発を輸出すればインドの核開発に手を貸すことになり、「唯一の被爆国」としての道義的立場を投げ捨てることになります。

 安倍首相は共同記者会見で、「インドは2008年9月に核実験一時停止(モラトリアム)の継続を表明し、原子力の平和的利用を進める決意を明らかにしている。これを前提に合意した協定では、日本による協力は平和的目的に限定する内容を確保している」と正当化しました。2008年に締結された米印原子力協定と同様、核実験停止などを条件にしているものとみられます。

 また、日印両政府は、防衛装備品及び技術移転協定と情報保護協定に署名。海上自衛隊の救難飛行艇US2の輸出に向け政府間の交渉を進める見通しです。

 さらに、日印に米国や豪州を加えた日米印、日米豪三カ国の軍事協力を拡大していくことも確認。米印の海上演習「マラバール」に日本が恒常的に参加していくことで一致しました。


核兵器開発に手を貸す原発輸出認められない

 安倍首相は12月12日、インドのモディ首相との日印首脳会談後に記者会見し、日本からインドへの原発輸出を可能にする原子力協定締結について「原則合意」に達したと発表しました。「唯一の被爆国」日本から核不拡散条約(NPT)未加盟の核保有国であるインドへの原発輸出に一歩踏み出すことになります。

 SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)によれば、インドは2015年1月現在で90~110発の核兵器を持つ核保有国。外国からの核物質・技術が核兵器開発に転用・利用される危険が懸念されています。日本からの原発輸出も結果的にインドの核兵器開発に手を貸すことにつながります。核廃絶の先頭に立つべき日本として絶対に踏み込んではならない道です。

 安倍首相は首脳会談で、モディ首相に対し、インドが再び核実験を行った場合、原子力協定に基づく協力を停止する方針を伝えたとされ、これによって原子力協定締結を正当化する姿勢を示しました。

 しかし、核実験をしなければ核兵器開発が許されるというものでは決してありません。さらに、両首脳は記者会見で、この条件については一言もふれず、「原則合意」と述べた安倍首相に対し、モディ首相は「覚書」(メモランダム)に署名したとの表現にとどまりました。

 安倍首相は記者会見で、日本政府がNPT普遍化やインドが批准していない包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効などを重視していると述べ、「(インドと)対話を続ける」と語りました。つまり、日本国内の原発推進勢力向けに「原則合意」という外交成果を強調した上で、残る懸案事項は引き続き対話を継続していくという姿勢を示したものです。

 インドへの原発輸出は、原発先進技術を持つ日本がインドの核開発にお墨付きを与えたというメッセージを世界に与えるとの指摘もあります。「唯一の被爆国」であり、重大な原発事故を起こした日本が、事故の収束も原因究明も進まないもとで、国内の原発推進勢力の要請に応えて核保有国への原発輸出に前のめりになることは決して認められません。(山田英明)

(「しんぶん赤旗」2015年12月13日より転載)