
昨年、北海道の鈴木直道知事が北海道電力泊原発3号機(北海道)の再稼働について同意を表明した理由の一つは電力料金の値下げでした。また、経済産業省は、原発再稼働が進んでいる九州エリアや関西エリアでは、「電気料金は他のエリアよりも最大で3割程度安い」と説明。原発再稼働が電気料金を低減させていると主張しています。原発を動かせば、電気料金が安くなるというのは本当なのか―。(松沼環)
九州電力や関西電力の電気料金は他の電力会社の料金と比べて割安です。しかし、同様に原発の依存度が高い四国電力の電気代は安くなく、再稼働が進んでいない中部電力や北陸電力と同程度となっています。(表)
また、東京電力は柏崎刈羽原発6号機(新潟県)を再稼働させましたが、電気代を下げる予定はありません。原発の再稼働が一概に電気料金を下げてはいません。
■泊原発
北海道電は2013年以降、電気料金の大幅な値上げを3回も行っています。
その理由について原発問題全道連絡会事務局長の堀一さんは「北海道電は、再稼働に固執し、原発を維持してきました。そのため老朽化した火力発電も維持しなくてはいけなくなり、そういった費用が上乗せされ全国一高い電気料金になったのです。原発固執をやめれば、再生可能エネルギーのポテンシャル(潜在力)は高いので、はるかに安い電気料金にできていたでしょう」と話します。
北海道電は、再稼働による燃料費の減少などで経費低減効果が見込めると強調。27年に予定している泊原発3号機の再稼働後に電気料金を11%下げられる見通しだと説明しています。しかしその根拠は、原発と関係のない経営合理化による収支改善などを含み、さらに販売電力量が約2割増えることが前提です。北海道地域は11年以降、省エネや人口減により1割程度電力需要が減少しています。
原子力資料情報室共同代表の松久保肇さんは「販売電力量の数字はデータセンターなどによる電力需要増を見込んでも、無理があります。値下げがどの程度実現できるか、かなり疑わしい」と指摘します。
北海道電の料金が高い理由は、エリアが広いため送電手数料が高いことと、動かない原発に多くの投資をしてしまったためです。
北海道電は、泊原発の再稼働のため防潮堤などの対策に建設費を上回る5150億円、テロ対策費も含めると計6270億円かかるとしています。今後、核燃料の輸送船が出入りする新港の建設費などで、さらに増加します。さらにこれとは別に原発は稼働していなくても多額の維持費がかかり、これはすでに電気料金に上乗せされています。
松久保さんは「北海道電の13年度から24年度の原発の維持費だけで8200億円。この間の販売電力量で割ると1キロワット時当たり2・7円になり、電力料金を押し上げている」と指摘します。
■女川
原発問題住民運動宮城県連絡センターの中嶋廉さんは、「東北電では原発が止まっていた期間の維持費は年約千億円」と指摘します。原発をやめる決定をすれば、維持経費はほとんど必要なくなるといいます。
中嶋さんは「原発再稼働は再エネの伸長と温暖化対策を阻害します。暮らしを守り日本経済を元気にするためにも原発はやめたほうがいい。再稼働にともなう対策費が高騰する中、電力会社はますます安全対策を手抜きする方向に向かっています。事故による負担は膨大なものですが、その危険性が増えています」と話しています。
大手電力会社の3月の電気料金(規制料金)(30A、260キロワット時)
北海道電力 9390円
東北電力 7372円
北陸電力 7293円
東京電力 7497円
中部電力 7159円
関西電力 6621円
中国電力 6814円
四国電力 7201円
九州電力 6606円
(「しんぶん赤旗」2026年2月20日より転載)