東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で安全設備関連のケーブルが新規制基準に反して分離されていなかった問題で、東電が原子力規制委員会に提出した同原発6、7号機の審査の申請書類に、「対策を講じている」などと実態と異なる記述があることが12月8日、分かりました。
規制委の審査は原発再稼働の前提として行われますが、電力会社の申請書類に事実と異なる記載があることを想定しておらず、ケーブルの分離は現場で確認していませんでした。審査の限界が浮き彫りになりました。
原発の新規制基準は火災対策として、安全上重要な設備と関連のあるケーブルは系統を分離するよう求めています。板などで隔離する必要がありますが、柏崎刈羽6、7号機では少なくとも計296本のケーブルが分離されていませんでした。
一方、東電が6、7号機の再稼働を目指し、2013年9月に提出した工事計画認可申請書は「相互に分離したケーブル・トレー、電線管を使用して敷設」と明記。「独立性を侵害することのないよう適切に影響軽減のための対策を講じている」と記載していました。
実際には安全設備関連のケーブルを入れたトレーに、別のケーブルも通すなど、不適切な工事が行われていました。東電は「対策を講じたと思い込んでいた。確認が不十分だった」としています。
規制委は8月、東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型原発のうち、柏崎刈羽6、7号機を優先的に審査すると決めました。しかし9月に東電が報告するまで、ケーブルの問題を把握していませんでした。
同様の問題は、中部電力浜岡原発4号機(静岡県)や、北陸電力志賀原発1号機(石川県)などでも発覚しています。
(「しんぶん赤旗」2015年12月9日より転載)