電力会社や原子力関連企業などでつくる原発利益共同体の中核組織「日本原子力産業協会」(原産協会)の会員企業が2014年に、少なくとも計7億1000万円を自民党の政治資金団体「国民政治協会」に献金していたことが、総務省が11月27日に公表した14年分の政治資金収支報告書でわかりました。献金額は12年に約3億円、13年に約5億円と連続して上昇。国民の批判を振り切って再稼働と原発輸出を推し進める安倍政権の背景に巨額の原発マネーがあることが浮かび上がります。
14年は原産協会会員430社・団体のうち判明分だけで60社が献金。原子炉メーカーでは三菱重工業が3300万円、東芝と日立製作所がそれぞれ2850万円でした。
製鋼大手の新日鉄住金(3500万円)や化学大手の東レ(4000万円)などが目立ちます。
重電機器・家電メーカーでつくる一般社団法人「日本電機工業会」は7700万円を拠出していました。
電力会社はグループ企業を介して献金。関西電力関連のきんでんが400万円、中国電力関連の中電工が112万円など。
自民党が野党だった11年と、年末の総選挙で同党が政権復帰した12年は、同協会会員企業からの献金は計3億3000万円程度でした。しかし13年には大口献金元を中心に増額し、少なくとも5億8000万円に。政権復帰後の2年間で急激に増えました。
この間、安倍政権は原発再稼働と原子炉の輸出を「成長戦略」の中に位置づけ、九州電力川内原発を再稼働し、四国電力伊方原発の再稼働も決めました。
輸出促進では、首相自身が外遊でトップセールスを展開。これまでトルコやアラブ首長国連邦への輸出を可能にする原子力協定を締結したほか、事実上の核兵器保有国であるインドとも締結交渉を進めています。
業界からの献金を背景とした露骨な利益誘導といえます。原産協会は本紙の取材に、「個別会員企業の献金については関知していない」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2015年11月28日より転載)