原子力規制委員会は11月19日、原子炉直下の破砕帯(断層)が「活断層」とされている日本原子力発電・敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の再稼働の前提となる審査の進め方を議論し、原子炉直下の「活断層」や、原子炉から東数百メートルの位置にある第一級の活断層「浦底(うらそこ)断層」の影響評価の審査を当分優先し、設備関係の審査を保留することを決めました。日本原電もこれを了解したことで、審査に入ることになりました。
原発の新規制基準は将来動く可能性のある断層の上に、原子炉建屋など重要施設を設置することを認めていません。断層が動くことで重要施設が損壊し、重大事故につながる危険が生じるためです。
外部の専門家などで構成する規制委の調査チームは2年4ヵ月にわたって、現地調査などを踏まえて議論。2013年5月と今年3月の2度にわたり、2号機原子炉直下を通る断層が、「浦底断層」と連動する可能性があると判断し、断層は動かないとする日本原電の主張を退けました。
新規制基準の審査では、調査チームの判断を「重要な知見の1つとして参考とする」としています。これまで日本原電は専門家チームの評価を「受け入れがたい」などと反発。チームの専門家に抗議文を送り付けました。また、専門家チームの評価を「重要な知見として参考とすることはできない」との意見書を規制委に提出し続けています。
19日の議論では、規制委側から、事実確認などのための非公開のヒアリングで、事業者などが作成した記録に「有効性がない」ことを日本原電に改めて説明し、確認しました。
日本原電は今月5日に新規制基準への適合性審査を申請。原子炉直下の「活断層」について日本原電は活断層を否定しており、申請にあたって「補強するデータを追加した」としています。申請では、「耐震設計の目安となる想定する地震の揺れ(基準地震動)を800ガル、想定する津波高さ(基準津波)を4・38メートルにしています。
(「しんぶん赤旗」2015年11月20日より転載)