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福島原発20キロ内漁業自粛エリア・・県漁連が縮小検討ヘ

 東京電力福島第1原発の建屋周辺の井戸から放射性物質を含む地下水をくみ上げて浄化処理した後に海に流す「サブドレン計画」について、条件付きで認めることを決めた福島県漁業協同組合連合会(県漁連)は、漁業自粛エリアの縮小を検討する方針を明らかにしています。

 同計画が海側遮水壁の完成につながることから、野崎哲会長は「港湾内の水質が劇的に改善する可能性がある」と述べ、原発20キロ圏内の漁業自粛エリアの縮小を検討する考えを表明しました。

 ただ、浄化後とはいえ一度汚染された水を海に流すため、風評被害の深刻化の懸念は残ります。容認方針の決定後、避難指示区域内の漁業者は「原発敷地内の水はどんな水でも流してほしくないのが本音だ」と複雑な表情で語りました。

 現在、海側遮水壁の開口部から港湾内に毎日290トンの汚染地下水が流出しています。港湾内の海水から1リットル当たり1500ベクレル(国の基準の50倍)のストロンチウム90が検出されるなど、汚染が進んでいます。

 

【解説】水位管理厳格に・・サブドレン情報徹底公開を

 サブドレン計画は、東電が高濃度放射能汚染水の増加抑制策として必要だと説明してきました。

 同計画で最も警戒しなければならないのは、建屋地下の水位がサブドレンの水位を上回り、汚染水が流出し、汚染を広げてしまうことです。

 そうしないために、厳格な水位管理が求められます。365日、24時間の監視と、降雨などの条件変化や個々の井戸で異なる地下水の動きに応じた水位管理が必要です。

 くみ上げる地下水の汚染も問題です。昨年8月にサブドレンからくみ上げた地下水からは、1リットル当たり3000ベクレル近いセシウムや、同9万6000ベクレルのトリチウムが検出されました。新設の浄化設備ではセシウムなどを同1ベクレル未満まで取り除けるとしていますが、トリチウムなど一部の放射性物質は除去できません。

 東電は、個々の井戸から放出基準を超える放射性物質が検出されても他の井戸と混ぜて薄め、全体の濃度が基準を超えなければ放出するとし、国もこの計画を認可しましたが、問題です。

 今年に入り、排水路を通じた相次ぐ汚染水の海洋流出を東電が公表していなかったことが発覚し、福島県の漁業関係者も強く反発しました。サブドレン計画を進めるにあたって、関係者の同意のもとに行うことと、徹底した情報公開が求められます。

(細川豊史)

(「しんぶん赤旗」2015年8月13日より転載)

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