原発推進の安倍政権のもと、九州電力は8月11日、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を起動し、再稼働を強行しました。圧倒的多数の反対世論や周辺住民の声をまったく無視し、事故が起きた時の責任もあいまいのまま、避難計画など山積した問題を置き去りにした暴挙です。最悪の「安全神話」の復活ともいえるこの暴挙に、地元をはじめ各地で市民らが抗議行動、「ただちに再稼働の中止を」の声を上げました。日本共産党の志位和夫委員長は「川内原発の再稼働に断固抗議し、停止を求める」とする声明を発表(全文)しました。
九電は同日午前10時半ごろ、核分裂反応を抑える制御棒の引き抜きを始め、原子炉を起動。午後11時ごろ、核分裂が連鎖的に起こる「臨界」に。九電は14日に発電・送電を始め、問題がなければ9月上旬にも営業運転に移るとしています。1号機は11年5月の定期検査から4年3カ月、停止していました。
13年9月に関西電力大飯原発4号機(福井県おおい町)が停止して1年11カ月の間、国内では原発ゼロでも電力不足は起きていません。
そのなかで安倍政権は昨年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」で、原発を「重要なベースロード電源」と明記し、原発推進を宣言。原子力規制委員会の新規制基準を「世界最高水準」などとごまかし、これに「適合」した原発の再稼働を進めると繰り返してきました。
しかし、新規制基準は、東京電力福島第1原発事故は収束しておらず、事故の原因究明も尽くされていない中で拙速に作られ、原発の安全を保証するものではありません。住民の安全にとって肝心な避難計画の策定は自治体任せで、審査の対象外。計画の実効性を誰も検証していません。
周辺に大きな火山を抱える川内原発。巨大噴火の兆候があれば燃料を運び出すとする九電の方針を規制委は了承しましたが、運び出し先や運転停止基準など決めないままです。
原発を動かせば増え続ける使用済み核燃料など「核のゴミ」の問題も見通しがまったく立っていません。山ほどある問題を置き去りにして再稼働を進める安倍政権の責任は重大です。
(「しんぶん赤旗」2015年8月12日より転載)