北米初の海上風力発電所の建設が、米国北東部のロードアイランド州で7月27日、本格的に開始しました。
ロイター通信によると、風力タービン5基からなる3万キロワットの風力発電所は同州のブロック島の沖合約4・8キロに1年以上かけて建設されます。
海上風力発電は、欧州では1990年代から建設が始まり、すでに約2500基が実用運転しています。しかし米国では、コストや景観への懸念のほか、鳥やクジラヘの影響などから普及が進んできませんでした。
マサチューセッツ州ナンタケット湾では、130基の風力タービンを備えた洋上風力発電所が早くから計画されてきましたが、地元の反対で中断。デラウェア、ニュージャージー、ニューヨークの各州でも計画がとん挫しています。
ブロック島の風力発電は、小規模で資金調達も容易であり、州政府も前向きでした。同島では、1000世帯が高価なディーゼル発電に頼っています。風力発電によって電気代が4割下がるとの試算もあり、住民も歓迎しています。
退職後、島に移住してきたデービッド・ケーンさんは、「全国で最も高い水準の電気代を払ってきた。これでずいぶん助かるよ」と語ります。
建設には、仏の銀行ソシエテ・ジェネラルと米国の銀行が合わせて3億ドルを融資。完成後は、海底ケーブルでロードアイランドの本土に電力を送り、1キロワット時当たり26セント(約32円)でナショナル・グリッド社が購入し、6〜10セントの他の電力と合わせて同州各地に供給されます。
(「しんぶん赤旗」2015年7月30日より転載)