東京電力福島第1原発事故で神奈川県内に避難を強いられている被災者174人が国と同社を相手取り損害賠償などを求めている「福島原発かながわ訴訟」の第10回口頭弁論が7月22日、横浜地裁(相澤哲裁判長)でありました。
意見陳述した原告の女性(40)は、2011年3月15日に福島県いわき市(政府の遊難指示区域外)から避難し、その当日に夫と長男が大量の鼻血を出したと証言しました。以来4年間、事象を観察し、書籍などで情報を収集し検討した上で避難を継続していると述べ「なぜ加害者に汚染や被害の程度を勝手に決められ、避難の合理性がないなどと言われなければならないのでしょうか」と強調。放射線量の高い地域との比較ではなく、本来存在しなかったリスクを背負わされたことが問題だとして「命や健康、人間らしく生きる権利を、国やお金の都合よりも重んじてほしい」と訴えました。
裁判後の報告集会で弁護団の黒澤知弘弁護士は、原告の1人が亡くなったと報告。原告からの求釈明や資料提出に誠実に応じず裁判を引き延ばそうとしている国と東電を批判し「被告が応答せざるをえなくなる状況をつくり、原告を早く救済したい」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2015年7月24日より転載)