東京電力福島第1原発事故で千葉県に避難してきた18世帯47人が原告となり、国と東電へ被害の完全賠償を求めた原発被害者集団訴訟の第15回口頭弁論が7月10日、千葉地裁(廣谷章雄裁判長)で開かれました。原告側の証人として、島崎邦彦・前原子力規制委員会委員長代理と、田中三彦・元国会事故調委員の2人が立ち、大規模な津波を予測できたし、有効な対策を取れたはずだと、国と東電の対応を批判しました。
前規制委員長代理ら証言
島崎氏は、元政府の地震調査研究推進本部(推本)地震調査委員会長期評価部会長。2002年に同氏が中心となってまとめた推本の津波地震「長期評価」では、福島沖を含めた三陸沖から房総沖にかけて、日本海溝のどこでも大規模な津波地震が発生すると予測していました。しかし、東電と国は無視しました。
島崎氏は、東電などが用いた土木学会の津波評価手法について「長い間隔の地震を考えていない重大な誤り」と批判。政府の「長期評価」を理解していれば、大きな規模の津波が来ることを予測できたし、「有効な対策は立てられたはずだ」と述べました。
田中氏は、2006年の旧原子力安全・保安院と原発事業者らの勉強会で津波によって福島第1原発が全電源喪失することが話題になっていながら対策をとらなかったと批判。「可能性がわかっているのだから対応しなくてはいけなかった」と述べ、「福島第1原発事故は人災である」と強調しました。
(「しんぶん赤旗」2015年7月11日より転載)