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再生エネは高いか?②・・原発、見せかけの低コスト

福島第1原発3号機の海水配管トレンチから高濃度の汚染水を取り出し、セメント材で埋める作業=2015年2月5日(東京電力提供)
福島第1原発3号機の海水配管トレンチから高濃度の汚染水を取り出し、セメント材で埋める作業=2015年2月5日(東京電力提供)

 2030年の原発比率を20〜22%とした安倍政権の長期エネルギー需給見通し案は、原発を最も安上がりな電源としています。一方で、太陽光や風力は石炭などの火力発電と比べても割高になっています。経済産業省の発電コスト検証ワーキンググループの報告に基づくものです。

 報告は、各電源について14年と30年に最新式の発電所を新設した場合の、それぞれの1キロワット時当たりの発電費用を計算したものです。同様の試みは、東京電力福島第1原発事故を受け11年に設置されたコスト等検証委員会に続き2回目です。

 前回検証時の委員を務めた立命館大学の大島堅一教授は、今回の報告について「原発はできるだけ安く、再生可能エネルギーはできるだけ高くみせようとしており、政策を誤った方向に誘導している」と厳しく批判します。

追加費用を除外

 報告は、福島事故後に新たに必要になった原発の追加的安全対策費用の多くを、試算の対象から外しています。試算は新規建設を想定しているので″設計段階で対策をとれば、追加費用の多くは省くことができる″という理屈です。例えば、津波対策の防潮堤は、敷地を高くしておけば必要ないとして「すべて除外」=追加費用ゼロです。

 一方、新規建設が前提だとしながら、事故発生時に放射能の漏えいを防ぐ二重の原子炉格納容器や、炉心溶融で溶け落ちた核燃料の受け皿となる「コアキャッチャー」の導入も想定されていません。

 英国で二十数年ぶりの新規建設計画となるヒンクリーポイントC原発(サマセット州、160万キロワット級2基)は、最終投資額が240億ポンド(4兆5600億円)に上るともいわれています(原子力産業新聞4月6日付)。

 大島教授は、今回の試算で欧米の規制強化を踏まえていないことが、追加的安全対策費用や建設費用の過小評価につながっていると語ります。

事故頻度低める

 事故リスク対応費用も問題です。11年の検証では、原発事故の発生頻度は意見に隔たりがあることから判断せず、事故が起きたときは、電力会社全体が40年間かけて支払う「共済方式」が採られました。今回の報告は表向き「共済方式」を踏襲するといいながら、実際には事故費用を安く見せるために「事故発生頻度方式」に変質させています。

 原発1基が1年稼働することを「1炉年」といいます。10基が1年稼働すれば10炉年になります。今回の報告は、11年の「共済方式」を原発50基が40年間稼働したときに事故が1回起きるものと読み替え、「2000炉年に1回」という事故発生頻度を算出。現在は新たな安全対策がとられたのでリスクが低下したとして「4000炉年に1回」に修正しました。

 その結果、福島事故費用は11年の約8兆円から現時点で約12兆円に増えたのに、1キロワット時あたりの事故費用は0・54円から0・3円に減少。安全対策が進めばさらに減るとしています。福島の事故費用が今後増大しても、安全対策で事故頻度が低下したことにすれば、1キロワット時あたりの費用はさらに減らすことができます。

 「前回は事故の発生頻度は判断できないから共済方式をとり、40年の運転期間中に少なくとも1回分の事故費用はコストに含めるという考え方でした。検証委で2000炉年で合意したことはないし、それが4000炉年になる理由も分からない。設備利用率が70%、80%など夢物語のような話も入っている。あまりにいいかげんです」

(立命館大学・大島堅一教授)

(つづく)

(しんぶん赤旗2015年6月12日付けより転載)

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