被災者の生活再建、被災地の復興にとって、住まいとともに要となる雇用や生業(なりわい)の再建。しかし、震災から3年がたってもほとんど改善していないことが、被災者300人実態調査で明らかになりました。
再建進まない
農業、漁業、自営業だった人に、「生業の再建は進んでいますか」と尋ねたところ、「再建できた」13%、「再建のめどはついた」9%で、合わせて22%にとどまりました。
「めどがたたない」15%は計78%に上りました。震災から1年時(87%)、2年時(79%)と比べ、みるべき改善がありません。東京電力福島第1原発事故に苦しむ福島県では91%に上り、いっそう深刻です。
宮城県気仙沼市で息子とともにマグロ仲買業をしていた女性(86)は、漁業者の再建が進まないため市場に魚が並ばず、仕事ができないと嘆きます。「小さい浜や市場は全然元に戻っていません。気持ちはあるのに、めどがたちません」
就労状況深刻
就労状況も深刻です。失業中と笞えた人は32%で、震災1年時の36%からあまり改善していません。
経営者の立場から、しっかりした雇用改善のために生業再建の支援が必要だと指摘するのは、同市の設備会社社長の男性(69)です。
「県がやっている仕事づくりには未来がない。若者が重機のオペレーターや大型免許をとる事業を支援しているが、復興事業が終われば職を失う。国や県は、漁業や農業など地域で続けられる生業再建を支援してほしい」
被災業者への国の支援が乏しい中、被災者の運動と日本共産党国会議員団の奮闘で実現した中小企業のグループ補助制度。復旧・整備費の最大4分の3を補助するこの制度を使って再建にこぎつけた業者も多くいますが、その道のりは平たんで
はありません。
岩手県釜石市の民宿従業員、高橋憲子さん(30)は、「床下浸水した民宿の建物再建はグループ補助で何とかなりました。でも、建設業者さんの宿泊は減っていて、駅前に大手のホテルも建設中。今後が心配です」と話します。
大企業の誘致や支援より、中小零細業者の再建を後押しする公的支援を・・。同市のJR釜石駅前の物産センター内で母親が物産店を営む菊池真智子さん(52)は、話ります。
「市はイオンを誘致しましたが、私たち中小には大きな影響が出そうです。テナント料が高くて地元の中小企業は入れません。周りでは釜石から働き盛りの人が流出していることも話題になり、心配です。もっと中小企業が使える補助金をつくってほしい」
(つづく)