原子力規制委員会の5月13日の定例会合で、原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)に対して、新たに保安規定違反が指摘されました。規制庁によれば、2012年に発覚した大量の機器点検漏れ以降6件目です。
規制庁は3月に、もんじゅの保安検査を実施。その中で、安全上最も重要な「クラス1」に分類される機器の点検が適切に行われていないなどの問題を確認していました。今回、これらの問題が、安全に影響を及ぼす可能性があると判断し、保安規定の「違反」にあたると判定しました。
規制委は大量の機器の点検漏れを受け13年5月に保全計画の見直しや保守管理体制の再構築などを機構に命令。その確認が完了するまで「もんじゅ」は運転へ向けた活動を行えません。機構は昨年12月、必要な対応を実施したとして命令への
対応結果の報告などを提出していました。
しかし規制庁は、今回の「違反」について「機構報告書の信頼性に疑問を抱かせるもの」と指摘しています。
女川も点検不備
東北電力は5月13日、東日本大震災で被災した女川原発(宮城県)の1、3号機で、点検記録の記載漏れなどの不備が計474件あったと発表しました。これまでに2号機で4188件の不備が発覚しています。
内訳は1号機が102件、3号機372件。点検記録の記載漏れが計274件と最も多く、実在しない箇所を点検済みとしたケースも計22件ありました。
女川原発の点検記録をめぐっては、原子力規制委員会が昨秋、2号機の記録管理が不適切と指摘し、東北電が全3機の記録を調べ直していました。2号機は今年2月に点検結果を公表しました。
使用前検査日程・・川内1号に遅れ
九州電力は5月12日までに、再稼働に向けて原子力規制委員会の使用前検査を受けている川内原発1号機(鹿児島県)について、原子炉への燃料搬入準備の完了を6月12日とする新たな計画を規制委に提出しました。以前の計画より約1週間遅れで、7月中旬としていた原子炉起動も同月下旬以降にずれこむ可能性が強まりました。
九電側の準備不足などから作業が遅れ、4月の審査会合で規制委側から「日程に余裕がなく、見通しが甘い」と指摘されていました。
(「しんぶん赤旗」2015年5月14日より転載)