南海トラフの浅いプレート境界でも「スロースリップ」と呼ばれるゆっくりとした滑りが起きることを裏付ける微動を日向灘の海底で観測したと、九州大学や鹿児島大学、長崎大学、東京大学などの研究チームが5月8日付の米科学誌『サイエンス』に発表しました。
東海沖から九州東方沖の南海トラフでは、海側プレートが陸側プレートの下に沈み込んでいます。このプレート境界が急に広範囲で滑ると大地震となり、海底から浅い境界で起きた場合は津波も発生します。
スロースリップは数日間以上にわたって起きます。しかし、全地球測位システム(GPS)などによる地殻変動の観測で検出するため、これまでは陸地の地下に位置する深いプレート境界のスロースリップしか観測が進んでいませんでした。
九大の山下裕亮研究員(現東大特任研究員)や清水洋教授らは2013年、日向灘の海底に地震計12台を臨時に設置。同年5月下旬から約1ヵ月間、浅いプレート境界で起きた低周波の微動を観測しました。発生場所の移動パターンや超低周波地震との一致から、深いプレート境界と同様にスロースリップが起きていると結論付けました。
(「しんぶん赤旗」2015年5月9日より転載)