年末にパリで開く気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向け、温室効果ガスの削減目標や電源構成(エネルギーミックス)の検討が進む中、新たな知見に関するシンポジウムが4月8日、東京都内で開かれました。国立環境研究所が主催し、市民や研究者ら約100人が参加しました。
研究所などが発表した複数の削減シナリオを比較検討した歌川学さん(産業技術総合研究所)は、「C02削減に寄与するのは省エネ、再生エネ導入、石炭から石油・ガスヘの燃料転換で、原子力は割合を高くしても削減が大きくなるとは限らない」と述べました。
システム技術研究所の槌屋治紀さんは、100%自然エネルギーシナリオを紹介。「太陽光、風力のコストはますます下がり、二つの組み合わせは電力需要に効果的に対応できる」と2050年までを見通しました。
省エネ・再生エネなどの導入可能量などを提言してきた国環研AIMチームの増井利彦さんは新しい試算を報告。「経済成長を確保しつつ、90年比20〜30%以上の削減は可能である一方、石炭発電増強の動きは将来に悪影響を及ぼす」と早期の対策を求めました。
東北大学の明日香壽川(じゅせん)さんは、各国が発表する目標などについて国際的な議論を紹介しました。
報告者はパネルディスカッションを行い、政府の審議会委員を務める藤野純一さんは「温暖化対策、電源構成の議論は、子や孫、未来のためであることをふまえる必要がある」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2015年4月9日より転載)
福島 測定機器不具合か・・放射線量で異常値
福島県が放射線量を測定するため県内に設置したモニタリングポストの一部で、一時的に異常に高い値が示されていたことが4月7日、分かりました。周囲のポストで異常値は出ておらず、県は機器に何らかの不具合があったとみて調べています。
県によると、今月から試験運用が始まった新設のモニタリングポスト78台のうち、南相馬市や葛尾村などにある約30台で、不具合が発生した可能性があります。2台は通常の1000倍ほどの値を示し、他も数値が安定していないといいます。
異常値は運用初日の1日から出ていました。県は機器本体や、データ送信で障害が発生した可能性が高いとみています。
(「しんぶん赤旗」2015年4月9日より転載)