東京電力福島第1原発で高濃度の放射能汚染水が排水路を通じて海に流出している問題で、原子力規制委員会は4月1日、敷地境界での年間の被ばく線量の制限値の推定に、排水路を流れる水に含まれる放射性物質を対象にしないことを確認しました。
福島第1原発では、2013年以降、敷地境界での被ばく線量の評価値が年1ミリシーベルト未満という規制委の制限値を大幅に超えてしまったため、規制委は16年3月末までに段階的に制限値を達成するよう求めていました。また、排水路の水の管理方法や線量評価について、今年3月末までに定めるよう東電に要求していました。
規制庁は、排水路の水に含まれる放射性物質の多くは、「施設内に保管されている発災以降発生したがれきや汚染水等」に由来しないとして、制限値の評価対象外としました。
先月開かれた規制委の専門家の会合では、規制庁の説明に「事故時の降下物の影響と考えるのは危険」など疑問が出されていましたが、この日の会合では異論はありませんでした。
更田豊志委員は、排水路からの放射性物質放出の抑制策を求めていくとしていますが、排水路の水の環境への影響が指標化できていないと、指標化の必要性を認めました。
(「しんぶん赤旗」2015年4月2日より転載)