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国連防災世界会議 生活再建が最重要・・福島 研究者・市民が行動宣言

 東京電力福島第1原発事故の教訓や課題を共有し、復興のあり方を考えるワークショップが3月17日、福島市内で、第3回国連防災世界会議の関連事業として開かれました。研究者や市民ら170人以上が参加し、福島原発災害の克服に向けて「ふくしま行動宣言」を採択しました。

 行動宣言は、原発事故4年の現状を「復旧・復興の見通しが立たず、その深刻さ・過酷さを突きつけている」と示し、これに立ち向かう三つの行動方針を提起しました。

 行動方針の一つ目は、「被災者の生活再建を実現し、人間の尊厳を取り戻すことを、復興再生の最重要課題と位置づける」です。

原発災害に立ち向かうための行動宣言を採択した市民、研究者ら=3月17日、福島市内
原発災害に立ち向かうための行動宣言を採択した市民、研究者ら=3月17日、福島市内

 原発災害による困難について、丹波史紀・福島大学准教授は「広域避難」「家族離散」「避難の長期化」などを提示。今野順夫・福島大学元学長は、「常磐道開通などハードの復興事業が進む一方で、人間の生活の回復は厳しく、時間経過とともに困難さは増している」と指摘しました。

 国連大学サステイナビリティ高等研究所のアンナ・モシニャガ研究員は、国連の国内避難民に関する指導原則にもとづいて、避難者には帰還をはじめ、避難先社会に溶け込むことや、別の場所への移住といった選択肢を行政が保障するべきだとしました。

 行動方針の二つ目は、「誰もがアクセスしやすい、透明性の高い情報プラットホームを構築する」です。信頼できる情報を収集し、発信する仕組みが必要だとします。

 スロバキアの原子力研究機関のデュラノバ・タチアナ氏は、「利害関係者の平時からの参画と情報共有が重要だ」と指摘しました。

 行動方針の三つ目は、「生活再建やふるさとの復興再生に対する合意形成システムを構築する」。住民や企業、行政、専門家らによる地域コミュニティー単位の「車座会議」を呼びかけます。

 宣言文を提案した鈴木浩・福島大学名誉教授(福島県復興計画策定委員会委員長)は、行政が一方的に提案し住民を説得するのは正しい合意形成過程ではないと批判。「一本調子でこれしかないというやり方は今回の災害では無理だ。″車座会議″で多様な意見を認め合う場面をつくりたい」としました。

(「しんぶん赤旗」2015年3月19日より転載)

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