関西電力は17日午前の臨時取締役会で、美浜原発1、2号機(福井県)の廃炉を正式決定しました。日本原子力発電も同日午前、敦賀原発1号機(福井県)の廃炉を決めました。関電と原電は17日中に福井県などに廃炉の決定を報告。いずれも運転開始から40年を超えており、経済産業省が存廃の判断を急ぐよう求めていました。
同様に老朽原発を抱える中国電力と九州電力も、島根原発1号機(島根県)、玄海原発1号機(佐賀県)の廃炉を18日に決定します。電力4社は19日に経産省にそれぞれが保有する原発の廃炉を届け出ます。
一方、関電は17日、運転を停止している美浜原発3号機(福井県)と高浜原発1、2号機(同)の再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査を原子力規制委員会に申請しました。
解説・・採算より安全優先を
原発の機器や設備は、高温、高圧の過酷な環境で使われ、振動による金属疲労や、熱疲労で壊れやすくなります。美浜原発2号機は、1991年2月に、原子炉から取り出した熱で水蒸気をつくる蒸気発生器の細管が金属疲労で破断し、日本の原発史上初めて緊急炉心冷却装置が作動する事故を起こしました。
美浜原発と敦賀原発がある敦賀半島は活断層が何本も走る“地震の巣”です。地震と原発事故が重なったとき、どれほど大変なことが起こるかは、東京電力福島第1原発事故で明らかです。美浜原発1、2号機、敦賀原発1号機だけでなく、すべての原発の廃炉が求められています。
美浜原発3号機では、2004年8月、配管から水蒸気が噴き出し、11人の作業員が死傷する事故が起こっています。この配管は1976年に同機が運転を開始して以来、点検されていませんでした。
関西電力と日本原子力発電が廃炉を決定した原発はいずれも出力が小さく、運転しても採算が取れないと判断したからだといいます。採算が取れれば、老朽原発を運転しようとする電力会社の判断は、安全よりもうけ優先の姿勢そのものです。
(原発取材班)
「原発ゼロ」へ引き続き全力・・原発住民運動福井・嶺南センター代表委員で日本共産党高浜町議の渡辺孝さんの話
廃炉を決定したことは当然です。地域では、「もう動かすな原発!福井県民署名」が30万人分をめざして取り組まれており、声なき声が寄せられています。福島第1原発事故の現状を見るにつけ、原発拒否の思いは確実に広がっています。
生活のすみずみまで原発に縛り付けられてきた住民の多くは口には出せないながら、再稼働に強い不安をもっています。
一方で関西電力は、高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働にしがみつくとともに、原子力規制委員会に対し3月17日、美浜原発3号機、高浜1、2号機の再稼働のための審査申請書まで提出しました。
再稼働を許さず、原発ゼロを決断し、原発から自立した地域をつくりだしていくため、引き続き全力を挙げます。
(「しんぶん赤旗」2015年3月18日より転載)