【ブリュッセル=時事】欧州連合(EU)欧州委員会が、世界全体の温室効果ガスの排出量を2050年までに10年比で60%削減する目標をまとめたことが2月25日、分かりました。年末にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で提案する方針で、いち早く高い目標を掲げることにより、国際的な議論をリードする狙いがあります。
欧州委は同日、EU加盟国と欧州議会に対し、こうした内容を盛り込んだエネルギー政策に関する文書を提出。ロイター通信が入手した文書草案によると、EU加盟国は3月末までに個別の目標を宣言し、中国や米国など主要排出国にも追随するよう求め、「科学的見地に照らし、排出量を世界全体で少なくとも60%削減する軌道に乗せるべきだ」と指摘しました。
また草案は、先進国に法的拘束力がある削減目標を課した京都議定書と同様に、COP21での合意も議定書の形式にすべきだと主張しています。ただ、法的拘束力を持たせることには、中国や米国などの抵抗も予想されます。
EUは既に、EU全体で30年までに1990年比で40%削減する目標を定めています。
(「しんぶん赤旗」2015年2月26日より転載)