原発の使用済み核燃料を再処理したウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料のうち、各地の原発などで既に使った分が国内に少なくとも127トン保管されていることが2月7日、日本原子力研究開発機構や電力各社への取材などで分かりました。原発などで使われたウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料は、通常の使用済みウラン燃料に比べ、毒性の高い放射性物質が5倍発生します。ところが、使用済みMOXから、再びMOX燃料を作るサイクル(循環)は日本にありません。国が進める核燃料サイクルが袋小路に陥っていることを示しています。
通常の使用済み燃料からMOX燃料を作り出した後の高レベル放射性廃棄物は、最終処分場のめどが立っていません。使用済みMOXも各原発などで長期保管せざるを得ない状況で、再稼働が進めばさらに増える可能性があります。
原子力機構は新型転換炉「ふげん」(福井県)で使用済みMOXを63・9トン保管。他に東海再処理施設(茨城県)に23・1トン、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)に6・1トンなど、昨年12月時点で計100・7トンを保有しています。
一方、核燃料の輸入量を示す貿易統計などから推計すると、九州電力玄海原発(佐賀県)と四国電力伊方原発(愛媛県)には使ったMOX燃料が各10・7トン、関西電力高浜原発(福井県)には5・3トンあります。東京電力福島第1原発は3号機の原子炉内に8・1トンありましたが、事故で大半が溶け落ちたとみられています。
原子力規制委員会に審査を申請した原発のうち、MOX燃料の使用を前提とするのはJパワー(電源開発)大間原発(青森県)、中部電力浜岡4号機(静岡県)、高浜3、4号機、伊方3号機、玄海3号機。建設中の大間原発は全てMOX燃料とする計画です。
規制委は高浜3、4号機について、新規制基準に「適合」したとする審査書を近々示す見通しで、伊方3号機や玄海3号機も審査は大詰めを迎えています。
(「しんぶん赤旗」2015年2月8日より転載)