【ブリュッセル＝時事】ベルギーの沖合で風力により発電した余剰エネルギーを水力で再生しようと、海上に人工島を建設する計画が進んでいます。同国では２０１４年、原発３基が一時停止して電力危機に陥りかけた経験があり、自然エネルギーを活用することで、環境問題への対応と電源の多様化の一石二鳥を狙っています。

　ベルギー北部のデハーンから約５キロ沖合に誕生する人工島はドーナツ状で、広さは２平方キロ程度。電力需要が少ない時間帯に、風力発電の余剰分を使って、島の空洞部分にためた海水を海にくみ出して空にしておき、電力不足時に海水を逆に島内に流し込み、その際にタービンを回して発電します。出力は50万キロワットと試算されています。

　欧州連合（ＥＵ）が14年12月に公表した将来有望な投資計画のリストにも、このプロジェクトが盛り込まれました。ベルギー政府高官は取材に対し、「年内に計画承認手続きを終え、21年にも操業を開始させたい」との見通しを示しました。

（「しんぶん赤旗」2015年1月6日より転載）