安倍政権が11月4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」の原子力分野の方針を具体化するための議論を行っている経済産業省の審議会「原子力小委員会」が27日に開かれ、原発を保有する事業者が「リスクがある中でも主体的に事業を行っていくことができるよう、必要な政策措置を講ずる」として、原発維持の優遇策を検討する方針を打ち出しました。
さらに、原発推進の立場の委員や、議決権のない「専門委員」で出席する関西電力副社長や電力会社の労働組合でつくる電力総連会長から「新増設、リプレース(置き換え)を含めた将来像を早期に示してほしい」「新増設、リプレースは避けて通れない」など、基本計画に明記もない原発の新増設を求める意見が相次ぎ、国民世論とは相反する議論がされています。中間整理案は12月に最終決定する予定です。
中間整理案は、電力自由化で競争が激化しても、廃炉や規制強化に対する対策、使用済み核燃料処理の課題などに対応できるよう、資金回収できる会計などの見直しや、技術的にも展望がなく危険な核燃料サイクル事業についても安定して事業ができるよう、実施主体である日本原燃のあり方を検討するなどとしています。
委員の中から「(事故前の政策から)方向転換していない」などの批判も出ています。
冷却再開は5時間後に・・福島第1原発2号機
東京電力は11月28日、福島第1原発2号機の使用済み燃料プールの冷却が停止した問題で、冷却を約5時間後に再開したと発表しました。温度上昇は0・6度でした。
東電によると、27日午後4時45分ごろ、2号機使用済み燃料プールの冷却に使われるポンプが自動停止しました。
通常、冷却に関わる弁を開いた状態にすることでポンプが動く仕組みとなっています。弁を開いたままにするには空気を供給し続ける必要があるのに、その供給機器の操作スイッチが停止状態になっていました。東電が原因を調べています。
停止時のプール水温は16・7度で、制限値である65度まで達するには約2週間かかる計算でした。プールには使用済み燃料が587体、未使用燃料が28体保管されています。
(「しんぶん赤旗」2014年11月29日より転載)