アメリカのオバマ大統領と中国の習近平国家主席が北京で会談し、地球温暖化を抑えるため2020年以降の温室効果ガスの削減で合意、米中がそれぞれの目標を公表しました。アメリカと中国の2国だけで世界の温室効果ガス排出の4割以上を占めます。欧州連合(EU)はすでに削減目標を決めており、米中の削減目標決定は国際的な合意づくりを促進するものです。世界第5位の排出国である日本はいまだに削減目標を示していません。安倍晋三政権の立ち遅れと地球温暖化対策への無責任ぶりが問われます。
温暖化対策待ったなし
地球温暖化は世界的な異常気象の発生や生態系の破壊など目に見える形で進行しており、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出を減らし、温暖化を抑えることは、いまや人類にとって差し迫った課題になっています。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は今月はじめ発表した第5次統合報告書で、現在のペースで温室効果ガスの排出が続けば21世紀末までに世界の平均気温は最大4・8度上昇し、人類や生態系に「後戻りできない影響を及ぼす可能性が高まる」と指摘しました。アジアでは洪水被害の拡大や死亡率の上昇、干ばつによる水と食料の不足などの発生を警告しています。
温室効果ガスの排出削減は、1990年代につくられた気候変動枠組み条約のもとで、今世紀になってからは京都議定書にもとづいて進められてきましたが、アメリカが京都議定書を批准せず、日本も第2約束期間には参加しませんでした。現在中国なども参加する2020年以降の国際的枠組みづくりの議論が進んでおり、12月に開かれるCOP20(気候変動枠組み条約締約国会議)での議論を経て、来年初めに各国が目標を提出、同年末のCOP21で決定する段取りです。
EUはすでに30年までに1990年比で40%以上削減するとの目標を決めています。アメリカが25年までに05年比で26~28%削減、中国が30年ごろを排出のピークにすると削減目標を明らかにしたことは、目標自体の評価や実現性とは別に、合意づくりへの前向きの姿勢を浮き彫りにしたことは間違いありません。
温室効果ガスの排出を削減する対策をとり、産業革命以降の世界の平均気温の上昇を2度未満に抑えるというのが国際的な目標です。IPCCの報告書は目標達成のためには二酸化炭素の総排出量を2兆2000億トン未満に抑える必要があるが、すでに1兆9000億トンに達しており、このままではおよそ30年後に許容値を超えるとしています。排出削減を急ぎ、今世紀末には「排出ゼロ」に近づいていくことが求められます。
原発も温暖化もなくす
問題は世界第5位の排出国である日本です。安倍政権は東京電力福島第1原発の事故後、原発による発電の見通しがたっていないことを理由に、民主党政権時代の削減計画を白紙に戻し、いまだに削減目標を示していません。
原発の比重を高め、温室効果ガスの排出を減らすというもくろみは破綻しています。「原発ゼロ」の実現と省エネ、再生可能エネルギーの拡大を柱に、原発も温暖化もない対策を世界に示すべきです。
(「しんぶん赤旗」2014年11月14日より転載)