東京電力は11月7日、福島第1原発でタンク増設工事中に鋼材が落下する事故が発生し、関連企業の作業員3人が負傷したと発表しました。そのうち1人は重傷で、一時、意識不明になりました。
東電によると、事故発生は同日午前11時23分ごろ。処理後の汚染水をためる予定のタンクの上に仮固定されていた金属製レールが落下。レールは地面ではね返り、隣のタンク周りで作業していた3人に当たりました。レールは長さ約25メートル、重さ約390キログラムで、溶接作業の安全を確保するハシゴを設置するためのものだといいます。
負傷した3人のうち意識不明となった重傷の1人は、ドクターヘリで福島県立医科大学へ搬送。意識を取り戻したものの、血圧に異常があるといいます。
別の2人も消防防災ヘリでいわき市立総合磐城共立病院へ搬送。そのうち1人は、自力歩行が困難で、骨折が疑われています。
同原発の事故収束作業には6000人規模の作業員が従事しています。9月にはタンク建設中に鉄パイプが落下して作業員が背骨を骨折。3月末には地盤掘削作業中に土砂の下敷きとなった作業員が死亡(作業による直接の死亡災害としては震
災後初)するなど、事故が頻発しています。
東電のまとめによると、熱中症や作業場所からの転落、機材に当たって負傷するような作業災害は、昨年度(2013年)は32件、作業員の数が増えた今年度は10月末時点で50件(うち43件は災害当日のみの休務)発生しています。震災発生後、事故処理に当たる作業員が死亡したのは計8人。
汚染土搬入開始・・復興相「極めて困難」
竹下亘復興相は11月7日の閣議後記者会見で、東京電力福島第1原発事故の除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設に来年1月から汚染土の搬入を開始する計画について「極めて困難な状況だ」と述べ、搬入時期を含め計画の見直しが必要との認識を示しました。
竹下氏は「(1月までに)何ができるか。そうしたことを考えると、極めて厳しい状況だ」と述べました。
政府は、福島県大熊、双葉両町に中間貯蔵施設を建設し、価管開始から30年以内に県外で汚染土を最終処分する方針。
(「しんぶん赤旗」2014年11月8日より転載)