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宮崎 反対運動広がる・・事故起きれば、風下で「被害地元」に & 鹿児島・いちき串木野市長に申し入れ

 

川内原発の再稼働反対を訴える県民=10月3日、宮崎市
川内原発の再稼働反対を訴える県民=10月3日、宮崎市

 鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市にある九州電力川内原発の再稼働をめぐり、最短で約54キロに位置する隣の宮崎県では「事故時に風下となり、『被害地元』になる」「鹿児島だけの問題ではない」と反対運動が広がっています。

 「川内原発、再稼働はんたーい」。毎週金曜の晩、「原発やめて」と書かれた横断幕やのぼりを掲げたデモ行進「再稼働反対ウオーク」が宮崎市の中心街を通ります。

 インターネットで行動を知った会社員の手束(てづか)浩二さん(44)=宮崎市=は、退勤後に急ぎ足で駆けつけ、2回目から欠かさず参加。「お金もないし微力だけど、これが自分にできることです」。誇らしげな表情で行進しています。

■署名が急速に進む

 幅広い県民でつくる「原発避難を考える緊急署名の会」は8月、「住民の生命を守る避難計画すら作れない川内原発再稼働に反対を」と呼びかけ、署名がわずか1カ月で3万3138人分に達しました。有権者約93万人(2013年7月21日)の3・2%を占めます。

 署名した人には、自ら駆け寄ってきた人もいるほか、九電グループ企業の社員が制服姿で「川内で事故があれば私たちが作業に行かされると思う」と話し応じたといいます。

 同会の呼びかけ人には、母親や農家、県・市議のほか、宮崎大学の元学長、九電の元社員、元原発技術者など県内の243人が名を連ねました。

 九電の配電部門に勤め、昨年(2013年)に退職した黒木和也さん(60)=串間市=は「福島原発事故の前から原発は危険だと思っていた。今は表だって行動できる」と署名集めや鹿児島の反対集会に参加。米GE社の技術者として東京電力福島第1原発6号機の建設にかかわった菊地洋一さん(73)=同=は「川内原発は地盤が悪く、一番心配なのは巨大地震だ。再稼働はとんでもない。多くの人が声を上げるしかない」と力を込めます。

川南町でコメやサツマイモを作っている男性(72)は「汚染が広がれば作物は売れなくなる。生産者にとってこれほど悲しいことはない。原発は無くすべきだ」と訴えました。

 川内原発の過酷事故で宮崎が広範囲に汚染されるとした民間の環境総合研究所(東京都)の試算も住民に衝撃を与えました。西風や西南風など三つの拡散方向を想定したところ、汚染を避けられる地域は県内にほとんどありません。

 4歳と7カ月の2児の母親、長友純子さん(45)=宮崎市=は「桜島(鹿児島県)の灰も市内まで来ており、被害が及ぶのは明らかです。福島では、外で普通に遊ぶ当たり前の生活さえ奪われました。子どもを守りたい一心で多くの母親が署名行動に立ち上がっています」と語ります。

 事故の被害について、河野俊嗣知事は「気象条件によっては影響が及ぶことも予想される」と答弁(2月定例会)。具体的な避難策は「原発30キロ圏外に関する国の指針改定を踏まえる」(危機管理課)として決めていません。緊急署名の会呼びかけ人で、日本共産党の前屋敷えみ県議は「風下で『被害地元』になるという住民の不安に応えるのが県の責任。安倍政権が全国で企てる原発再稼働を止めるためにも共同を広げていきたい」と強調します。

■串間の経験が土台

宮崎では、かつて原発建設が狙われたこともありました。

 1992年、県最南の串間市で九電の原発新設の構想が表面化。党派を超えた住民運動や「風評被害」を懸念した農業協同組合の反対表明、市議会の「原発立地反対」決議などが続き、97年3月に九電は「白紙に戻し再検討する」と表明せざるを得ませんでした。

 当時、建設反対の署名を集めていた、「緊急署名の会」共同代表の青木幸雄さん(65)は、福島原発事故の後の県民世論の変化を実感しています。「串間原発の反対運動は県南部が中心だったが、川内の再稼働反対の署名は北部でも約5000人が集まり、大きな広がりがある。3・11後の変化であり、串間の経験は運動の土台になっている」(中川亮)

 

知事に地元同意求めよ・・緊急署名の会 市長に申し入れ/鹿児島・いちき串木野

再稼働めぐり

 九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働の条件とされる地元同意をめぐり、いちき串木野市の市民団体「避難計画を考える緊急署名の会」が10月8日、田畑誠一市長に対し、同市も地元とするよう伊藤祐一郎知事に求めることを申し入れました。

 同市議会は、9月議会で地元同意を求める意見書を圧倒的多数で可決しましたが、田畑市長は、「国の責任で範囲を示すべき」との見解を表明し、知事に対しても地元同意の権利を求めないとしています。

 「会」の石神斉也代表らは、市長は市議会の意向を尊重し、知事に対して地元同意を求めてほしいと申し入れました。

 会談後、石神代表によると、市長は、地元同意の範囲について「国が決めるべきだ」と述べたと話し、「市長は議会になぜ同調できないのか。市民の命にかかわる問題。知事に対してはっきり求めてほしい」と話しました。

 会談は非公開とされ、市民団体からは批判の声が上がりました。

 同市は、川内原発から5・4~23キロ圏内に全市が入り、住民らの不安も強く、「会」が行っている再稼働に反対する署名には3万人市民の半数に上る署名が寄せられています。

(「しんぶん赤旗」2014年10月10日より転載)

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