原子力規制委員会は9月２日、原発周辺の巨大噴火に対する監視活動に関する検討チームの２回目の会合を開きました。規制委側が、「巨大噴火の可能性を考慮した処置を講ずる」などとした「基本的考え方」案を示したのに対し、火山学者から異論が続出しました。

　規制委側の案は、九州電力川内原発の審査結果について「（周辺で）カルデラ噴火に至るような状況ではない」とする一方、巨大噴火を対象にした監視を行い、原発の運転停止や燃料の搬出などの対応を行うとする方針を改めて明示。その上で、巨大噴火の観測例が少なく、監視で異常と認められても限界があるとして、「何らかの異常が検知された場合には、空振りも覚悟のうえで巨大噴火の可能性を考慮した処置を講ずる」と指摘。「その判断は、原子力規制委員会・原子力規制庁が責任を持って行うべきである」としています。

　しかし、火山の専門家は「（巨大噴火について）経験していないので、何が起こるかわからない。（噴火規模が）大きくなるから、かなり前から（前兆が）起きる保証もない」と指摘。別の専門家からは「（川内原発の審査で）噴火に至るような状況ではないと判断した根拠を、規制庁がどう考えているのか気になる」と疑問が出たほか、「（異常を検知するというが）異常の判断基準は誰がどこで決めるのか」「事業者、規制委だけではとても（判断は）無理」「（規制委側と）認識のギャップがある」などと、判断基準や監視体制のあり方などについて疑問が相次ぎました。

　規制委は今回の案を修正した上で、監視方法の具体的な内容などの検討を進めるとしています。

志賀原発　規制委が再検討要求・・「ベント、規定満たさず」

　原発再稼働の前提条件となる規制基準への適合性に関する審査で、原子力規制委員会は9月２日、審査会合を開き、北陸電力志賀（しか）原発２号機（石川県、沸騰水型）の適合性審査における主要な論点を示しました。規制委は、志賀原発で事故時、格納容器の破損を防ぐため、圧力を逃す排気（ベント）の際に放射性物質を低減するフィルター付きベントを申請に含めていないことに対して、規定を「満たしていない」と指摘し、「再検討」を求めました。

　北陸電力側は「当社の考えをまずは説明させていただきたい」と回答しました。

　規制基準では、排気中の放射性物質を低減する装置の設置を求めています。これまで申請のあったＢＷＲ（沸騰水型）原発は、全てフィルター付きベントを申請に含めています。

　また加圧水型原発に対しては、格納容器圧力逃し装置の設置は、猶予期間が設けられています。

　志賀原発は、重要施設直下などを通る敷地内の破砕帯（断層）に、活断層の疑いが指摘されており、規制委の専門家会合で検討が続けられています。このため個別論点の審査は、破砕帯に関して一定の見解がまとまるまで入らないとしています。

（「しんぶん赤旗」2014年9月3日より転載）