国や関電のもっている情報を住民に公開させ、事故原因を徹底的に明らかにし、再発防止策を実行させるには、原発推進の経済産業省から独立した第三者による調査機関の設置が必要
美浜原発3号機の二次系配管破裂による死傷事故について、経済産業省原子力安全・保安院が9月27日提出した中間報告は、福井県知事が「国の制度自体にも問題がある」(9月24日、経済産業大臣への要請書)と指摘していたにもかかわらず、国の責任についてはふれていません。
福井県の西川一誠知事は事故について、原子力史上はじめての重大な事故であり、「原子力に対する信頼・安心を根底から覆してしまったもので、極めて遺憾である」(同)と強調した上で、「二次系設備の管理を事業者の自主的な点検に任せるという国の制度自体にも問題がある」(同)と指摘し、中間報告でも国の役割について責任の所在を明らかにすることを求めてきました。さらに同要請書では、国の安全規制体制について調査や事故防止のための施策の勧告、建議権を持ち独立した「原子力事故調査委員会」の設置、老朽化した原発の「高経年化対策の再検討」を要求していました。
しかし、保安院が提出した中間報告は、事故の直接的原因として、「関西電力の品質保証、保守管理が機能していなかった」と指摘。このため、破裂した配管が、点検対象個所から漏れたとし、事故は関西電力と三菱重工業、日本アームの三社による保守管理のミスとする内容になっており、国の責任についてはまったくふれていません。
国の責任について、8月12日に開かれた原子力安全委員会で、関西電力が美浜原発3号機の配管検査を行った報告書「定期安全レビュー」(2000年5月)について、当時の通産省は、「妥当」と結論づけていたことを明らかにした保安院は「確認が不十分だった」と国の責任を認める発言をしています。しかし、中間報告ではその記述は消え去り、定期安全レビューについては「役割を再認識する必要がある」とだけ記載されています。
老朽化した原発の「高経年化対策の再検討」についても中間報告は、原発での「高経年化問題が指摘されている」と述べてはいますが、「今回の事故は、一義的には、必要な配管の減肉管理が適正に行われていなかった」からと結論づけ、「より慎重な点検管理が求められる」として、具体策はまったく示されていません。
原発推進は国策であり、事故が起きれば国の管理責任が問われるのは当然です。27日、松永和夫原子力安全・保安院長から報告を受けた西川知事が「二次系の検査システムに対する国の関与強化や、事故の防止対策に重点を置いた安全規制の確立」を求め、具体的に「高経年化対策」や「二次系配管を国の定期検査の対象に」することを提案し、最終報告に盛り込むことを要求しました。しかし、事故の調査を行い事故防止のための施策を提案する機関が独立しておらず、経済産業省の一部門ということでは、国の責任を追求し、事故原因を明確にすることはできません。国や関電のもっている情報を住民に公開させ、事故原因を徹底的に明らかにし、再発防止策を実行させるためには、原発推進の経済産業省から独立した第三者による調査機関の設置が必要です。
日本共産党敦賀市会議員団