北陸電力は8月12日、原子力規制委員会に志賀(しか)原発2号機(石川県志賀町)について、適合性審査の申請をしました。志賀原発の重要施設直下など敷地内に、活断層の疑いがある断層があり、
規制委の専門家会合で検討が続けられています。敷地内断層の検討が続けられている東北電力東通原発(青森県)では、一部の論点を除き実質的な審査に入っていません。志賀原発2号機も同様の扱いになるとみられています。
フィルター付きベント含めず
北陸電は2013年12月、敷地内断層に関して活動性を否定した最終報告を規制委に提出しています。一方、これまで活断層でないとしていた志賀原発から約1キロの福浦(ふくら)断層について活断層であると認めました。今回の申請では、福浦断層などを考慮し、想定される最大の地震動をこれまでの600ガルから1000ガルヘ引き上げました。また、敷地に最も影響を与える津波の高さはこれまでの5メートルから7・1メートルに引き上げました。必要な耐震補強は、今年度中に終了させる予定です。
これまでに申請のあった志賀原発2号機と同じ沸脱水型の6原発7基は、格納容器の圧力を逃がす際、放射性セシウムなどをこしとるフィルター付きベントを申請に含めていました。北陸電は、フィルター付きベントの設置を予定しているものの、申請には含めないとしています。
保有全社が提出
今回の申請で、原発を所有する9電力と日本原電が、適合性審査を申請。全国で13原発20基が審査されます。
原発問題住民運動石川県連絡センター事務局長の児玉一八さんの話・・安全無視はなはだしい
地元の科学者・住民団体は、志賀原発から北約9キロにある富来川(とぎがわ)南岸断層が約13〜12万年前以降に活動したことが明らかになった証拠などの調査を踏まえ、これまで4回、科学的調査をするよう北陸電に申し入れてきました。しかし、全く対応しようとしません。
しかも、志賀原発の敷地内の活断層について規制委の専門家による評価会合が続いており、結論も出ていないのに、再稼働へ向けた審査の申請は、安全無視もはなはだしく、経営優先しか考えない北陸電の姿勢があらわに出たものです。
北陸電は申請するに当たって、地元の方々に安心してもらうためだと言っていると報じられています。安心をはき違えています。県民にとっての安心は、危険性が指摘されているものについて、はっきりさせてほしいということです。重大事故がひとたび起これば、全国の原発が止まるように、原発は決して安定した電力でなく、地元に繁栄をもたらすものでもないことは福島事故で明らかです。原発ゼロヘ運動を強めたいと思います。
北陸電力志賀原発
石川県・能登半島の志賀町に立地する原発。1993年に運転を開始した沸騰水型軽水炉(BWR)の1号機(出力54万キロワット)と、2006年運転開始の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)の2号機(同135・8万キロワット)の2基があります。
(「しんぶん赤旗」2014年8月13日より転載)