原子力規制委員会は7月9日、東京電力福島第1原発について、現在の規制基準に基づいた地震、津波の影響を検討することで合意しました。
田中俊一委員長は「地震、津波を含め、どんな問題があるか早急に整理し、何から優先的に対応すべきかを明示して取り組むべきだ」と述べ、検討を指示しました。
福島第1原発は、東日本大震災前に実施した評価で、想定される最大の地震動(基準地震動)は600ガルとし、事故後の4号機の耐震性などもこの基準地震動で評価されています。また、津波に関しては震災後に高さ14メートルの津波を想定した緊急の対策を実施しています。
規制委はこれまで東電に対し、地震、津波の影響に対する新たな評価を求めていますが、期限は定めていません。東電は文献調査などを規制委に報告している状況です。
しかし、適合性審査を申請した太平洋側の原発では、これまでの基準地震動や想定された津波を大幅に上回る評価を提出しています。
この日の会合で更田(ふけた)豊志委員が「他の原発は新基準で評価しているが、福島第1についてもトレンチやタービン建屋に汚染水が滞留しており、耐震、対津波に対する備えが十分か確認しなくてはいけない」と提案。島崎邦彦委員長代理も「はらはらしながら見守っているのが実情で、なるべく早く実施してもらいたい」と述べました。
5号機プール・・冷却再開発表
東京電力福島第1原発5号機の使用済み燃料プールの冷却系で水漏れがあったトラブルで、東電は7月8日、停止していたプールの冷却を再開したと発表しました。
東電によると、プール冷却には原子炉を冷やす系統を応急的に利用。本格修理まで、それぞれの水温上昇を見ながら交互に切り替える方針です。
8日午後3時現在のプールの水温は30・4度、原子炉の水温は29・3度でした。それぞれ35度と65度の基準値を設け、その範囲内で2、3日を目安に切り替えます。
(「しんぶん赤旗」2014年7月10日より転載)