日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 推進派専門家 的外れな批判・・大飯差し止め判決を考える/舘野淳元中央大学 教授に聞く(上)

推進派専門家 的外れな批判・・大飯差し止め判決を考える/舘野淳元中央大学 教授に聞く(上)

舘野淳元中央大学 教授
舘野淳元中央大学
教授

 大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた福井地裁判決は、原発が抱える本質的な危険性を認めました。ところが、この判決をなきものにしようとする判決批判の動きが起きています。長年、原子力の専門家として原発訴訟にも関わり原発の危険性を指摘してきた舘野淳元中央大学教授に聞きました。

(聞き手 松沼環)

 

 推進派の専門家が判決の批判をしています。

 例えば、PWR(加圧水型)の大飯原発とBWR(沸騰水型)の福島第1原発の違いを理解していないとか、事故後にとられた対策を考慮していないというものです。

炉型が違っても

 判決は、外部電源が絶たれ、電動の給水ポンプが使えなくなると大事故になるのは必至と指摘しています。推進派はPWRでは、蒸気で動くタービン駆動補助給水ポンプが備わっており、この耐震信頼性は高いなどと主張しています。

 しかし、福島第1事故でも2、3号機は蒸気を一部取り出してタービン駆動で冷却水を循環させるポンプが動いていました。それも結局、事故の中で止まってしまいました。ですからPWRでも止まらない保障はなく、的外れな批判です。

利益が優先か

 また判決に対し、「海外ではリスク(危険)を管理して、公衆への影響を防護できるかの観点から議論する」などの批判もあります。

 では、どれだけのリスクを国民が引き受けるべきだと主張するのか。あれだけの事故を起こしながら、福島第1原発事故のようなリスクも、エネルギー供給のためなら引き受けるべきだと主張するのか。この点も判決は、人格権からみれば原発の経済的利益はより劣位にあるといっています。多くの人が納得できることだと思います。

(つづく)

(「しんぶん赤旗」2014年6月30日より転載)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です