安倍晋三政権は6月17日、新エネルギー基本計画策定後初となる2013年度版「エネルギー白書」を閣議決定しました。再稼働に向けて、原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、核燃料サイクル計画と原発輸出推進を明確にした基本計画を合理化しています。
白書は、第1章を基本計画の解説にあてています。東京電力福島第1原発事故後、化石燃料の輸入が増えたことで年間約3・6兆円の国富が流出していると指摘。電気料金値上げが「海外への生産移転を招き、対日投資拡大の障害になる」と強調しています。原子力規制委員会の適台性審査がすみしだい再稼働を進める姿勢です。
3・6兆円は、福島原発事故以前の原発の発電量を前提に資源エネルギー庁が試算したもの。廃炉となっている福島第1原発や、福島県が廃炉を求めている福島第2原発が前提に含まれているうえ、1・1兆円は世界的な燃料高騰と円安の影響だと政府も認めています。原発事故後に進んだ省エネの効果も検討されていません。
福島原発事故を受け、11年度のエネルギー白書は、原発を推進してきたこれまでのエネルギー政策を「ゼロベース」で見直すと明記していました。今回の白書は、原発推進に完全に先祖返りしています。
(「しんぶん赤旗」2014年6月18日より転載)